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2016ドラフト特集 第1弾
夏1本に懸ける逸材3投手 寺島成輝・藤平尚真・山本由伸

 

昨秋の地方大会でチームは敗れたため、今春のセンバツではその雄姿を見る可能性の低い高校球児たちにも楽しみな才能がそろう。関東、関西、九州に君臨する最注目3投手を紹介する。

履正社高・寺島成輝/打倒・大阪桐蔭に燃える本格派左腕


文=谷上史朗、写真=前島進

高校ではまだ全国のマウンド経験はない。甲子園へのラストチャンス、剛腕サウスポーは最後の夏に懸ける



 全国を見渡してもまだ軸となる選手が定まらない高校生のドラフト戦線。その候補に寺島成輝を推す声は少なくない。秋の時点で「順調にいけば12人の中に入ってくるでしょう」と話すスカウトもいたが、ストレートは常時140キロ前後を記録し最速148キロ。変化球もスライダー、チェンジアップ、カットを軸に多彩。その上、秋の公式戦36イニングでわずか4四球と制球力も高い。ストライクを取れるだけでなく左右を問わず打者のヒザ元へ投げ切れ、相手に自分のスイングをさせない。

「コントロールで困ったことはほとんどないです」と話すが、本格派左腕でこのレベルの球をコーナーへ投げ分けられる高校生はそういない。

 寺島の投球を見ながら今は現場へ復帰した元スカウトの言葉を思い出すことがあった。

「よくスピードボールを投げるのは天性というけどコントロールこそ天性。アマチュア時代にいい選手はプロに来てもいいし、悪い選手はプロでも苦労する。やっぱりコントロールですよ」

 硬式でプレーした中学時代から「ボーイズに寺島あり」と関係者の中では知られた存在だった。中学3年夏には日本代表のエースとして世界一も経験し、履正社高へ進学。するとその春、チームは甲子園で準優勝。黄金期の到来さえ予感させたが、以来、今春も含め4期甲子園から遠ざかっている。

 その間、寺島は1年夏から登板し、秋には永谷暢章、溝田悠人というセンバツ準Vの立役者を抑え主戦に抜てき。昨夏も初戦対決が話題になった大阪桐蔭高戦を託されたが勝利はならず。秋も準決勝で大阪桐蔭高に1対2で敗れ、3位決定戦の阪南大高戦も0対1。力は見せたが「負けたのは自分の力不足」とエースとしてだけでなく、四番兼主将としても責任を負った。

 今の寺島に足りないのは全国舞台での結果。当然「夏は大阪桐蔭を倒して絶対に甲子園です」と意気込むが、さらに大阪桐蔭高のエース・高山優希の存在が大きな刺激になっている。「試合には負けましたけど投げ負けたとは思っていません」。秋の戦いを振り返り、そんな言葉を聞いた直後、高山が神宮大会で150キロ。すると1週間後、今度は寺島が今季最終の練習試合(対京都成章高)でノーヒットノーラン。あらためての言葉はなくとも強烈な意地と確かな力を示しシーズンを締めくくった。

「来年は少々甘くいっても真っすぐで空振りが取れるようになりたい。そのためには変化球の質も上げないとダメ。結局はどっちもですね」

 大器が一足早く夏を見据え、鍛錬の冬に挑む。

PROFILE
てらしま・なるき●1998年7月30日生まれ。大阪府出身。183cm、86kg。左投左打。2歳で東京へ移り、幼稚園の終わりに国分寺スカイホークスで野球を始める。小学3年生のときに大阪へ戻り、小4年から茨木リトルへ入団、主に投手となる。茨木市立東中では箕面ボーイズに所属。3年時には日本代表チームのエースとして世界一を達成。その後、ニューヤンキース(各連盟無所属の硬式チーム)で練習を積み、履正社高では1年夏からベンチ入り。最速は148キロ。

横浜高・藤平尚真/躍動感あふれる名門校エース


文=岡本朋祐、写真=佐藤博

ノーワインドアップから流れるようなムダのないフォームが特徴。最速151キロの本格派だ



 印象に残る試合がある・・・

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