週刊ベースボールONLINE

2016球界マネー特集
プロ野球“銭闘”の歴史を振り返る

 

「武士は食わねど高楊枝」のたとえもあるが、渡る世間の“万能薬”?おカネの力はやはり偉大だ。悲喜こもごもの契約更改に加え、歴代のびっくり面白おカネエピソードを選りすぐって紹介してみよう。

天才打者にして借金王、青バットの大下の値段は?


陽気な遊び人・大下。単に金遣いが荒いというより、人にご馳走し、喜ぶ顔を見るのが大好きだったからでもある



 戦後すい星のように現れ、代名詞の“青バット”でホームランを量産した大下弘(東急ほか)は、史上最高の天才バッターであり、史上最高の“借金王”でもあった。後輩の面倒見がよく、女にモテ、夜遊び大好き。毎晩のように繁華街を豪遊していたが、そのおカネは、だいたいがツケだったという。球場まで借金取りと一緒に現れ、球団に給料を前借りして払う姿もよく見られた。さらに秘密にはしていたが、病気の母親が治療のために使っていた薬物の中毒となり、その治療費もかさんでいた。

 51年オフには前借りの金額が168万円になっていたというが、さらなる借金を申し込んだ大下に球団は「君が借金を返したらな」。激怒した大下は洋服を売り払い、家を抵当に借金をし、全額耳をそろえて突き返すと、「もう野球はやめます」と言い放ち、そのまま失踪。最終的には政財界を巻き込む大騒動の末、西鉄に移籍となった。その際に動いたはずの破格のカネの総額は、いまもはっきりとは分からない。

年俸を引き下げたのはONだった?



長嶋入団時の契約金は1800万。銀座一等地の1坪が263万円だった時代だ。王は長嶋の現役中は一度も年俸で抜けず、これは「OはNを上回らず」の不文律があったからだ



 落合博満(ロッテほか)をして、「あの2人が妥協せず上げてくれたら、こんなに苦労することはなかったのに」とこぼしたのが巨人王貞治長嶋茂雄、いわゆる「ON」である。何しろ、巨人だけでなく、他球団の主力選手も「あの2人がこの値段なんだ。お前なんか半分もらってもバチが当たるぞ」など年俸抑制の決まり文句に使われていたのだ・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング