ともにドラフト1位で、5球団競合の松井裕樹と2球団競合の安楽智大。1年違いで入団した、楽天の未来を担う左右の両輪だ。プライベートでも仲が良く、呼吸もぴったりといった2人。自らが立っている現在地、そして新シーズンへの決意をざっくばらんに、ときどき真面目に語り合った。 取材・構成=富田庸、写真=上野弘明 ブルペンで無言の対話
体格も利き腕もタイプも好対照の2人だが、プロ入り前から意外なほど共通点があった。高校2年時に甲子園でブレークを果たし、日本中が注目する存在となった両投手。彼らの白球ストーリーを語るには、まずその当時を振り返るところから始めなければならないだろう。 ――2人が最初に知り合ったのは?
松井 安楽を最初に見たのは高校2年の夏で、映像でした。甲子園出場が決まり、1回戦の相手、今治西高のデータを研究することになって。それが愛媛大会準決勝の映像で、相手が済美高だった。めっちゃごっつい1年生が投げていて、それがなんと安楽で(笑)。当時はそこまで有名ではなかったはずだけど、140キロ後半をバンバン投げていて、「コイツ、すげぇ!」と思ったのが最初ですね。
安楽 僕は結構、高校野球を観るのも好きだったんです。裕樹さんが神奈川大会準々決勝で横浜高に勝ったのも知っていましたし。で、僕が負けた相手に甲子園であのピッチング。しかも22奪三振ですから。ただただ「すごいな!」というのが率直な思いでした。
松井 最初の接点は、オレが3年時の高校ジャパンだったかな?
安楽 いや、その前に高校野球の仲間からラインのグループに招待されたんです。
松井 意味分かんなかったな(笑)。
安楽 名前のリストを見たら「あれ、松井裕樹さんがいるじゃん!」ってなって。
松井 甲子園に出るような同世代の選手が集まるグループがあったんだよね。
安楽 それで僕のほうから裕樹さんに直接連絡したんですよね。その後です、ジャパンで一緒になったのは。
松井 おそらく、安楽の全盛期は今のところ、高校ジャパンに入ったころだと思う。マジでハンパじゃなかった!とにかく速球の次元が違う。ちょっと力を入れたら152、153キロが出て。コントロール重視で148キロくらいを両コーナーに投げ分ける。レベルが違ったよな!
安楽 あのときはたまたま、調子が良かったんですよ(笑)。僕が裕樹さんを間近で初めて見たのも、当時のブルペン。スライダーがすごいというのは分かっていたんですけど、ストレートがとにかく力強かった。当時はバッターもやっていたので、そっち目線で見ていたんですけど、あのストレートが来たら手が出ないやろなと思っていました。スライダーも振ってしまうだろうし。なのに、ずっと自分では「調子悪い、調子悪い」と(苦笑)。これのどこが調子悪いんだろうってずっと思っていましたよ。
松井 でもブルペンは緊張したよな、すごい投手が集まっていたから。
安楽 お互い無言でも意識して(笑)。
松井 そう、投げながらチラッ、チラッと横を見てしまう(笑)
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