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2016助っ人特集

ロッテ・デスパイネ インタビュー 「ロッテの選手たちは皆、素晴らしい」

 

来日3年目にして、日本球界でのプレーに集中するのは今シーズンが初となる。数多の“キューバの至宝”の中でも、大本命と目される男が、カモメ軍団の四番としての責任を口にした
取材・構成=吉見淳司、杉浦多夢、写真=湯浅芳昭、大泉謙也、中島奈津子、通訳=田原大樹


バットとボールのコンタクトを重視


――ソフトバンク戦(4月6、7日/ヤフオクドーム)で2試合連続ホームラン。打撃が上向いてきました。何かアプローチを変えたのですか。

デスパイネ 特に変えたということはないですね。シーズンは始まったばかりだし、そんなに心配はしていませんでした。バッティング練習もいつもどおり。悪いときはやってくるだろうし、たとえそのときがきてもすぐにまた良いときがやってくると思っていましたから。

――今季第1号(6日)は3対3の9回に飛び出した勝ち越しの決勝ホームランでした。

デスパイネ ホームランを打てたことはうれしいですし、何より勝利につながるホームランでした。これからもっと打てるんじゃないかなと思います。

――普段は打席でどんなことを心掛けているのですか。

デスパイネ バッターにとっては、常にバッターボックスで「バットにボールを当てる」ということが一番大事になってきます。自分としてはその上で、ゴロではなく、ライナーや高い軌道の強いボールを打つ。そのためのコンタクトということを中心に考えています。監督やコーチにも、「力はあるのだから、そんなに強振するのではなく、バットにボールを当てることをまず考えてくれ」と言われています。だから、レフト方向にばかり打とうと思っているのではなく、外のボールだったらライト方向に強い打球を打ちたいですし、インサイド系のボールだったらセンターからレフトへ打つ。球種やコースによって打球の角度が変わっていきます。

ボールとバットのコンタクトを最重要視しながら強く打球をたたくことを意識しているというデスパイネ。シンプルな打撃法が実践できれば、天性のパワーが自然にボールをスタンドまで運んでいくことになる


――先のソフトバンク戦の決勝ホームラン、昨年のCSファーストステージ、日本ハムとの第3戦でもファイナル進出を決める決勝ホームラン。大事な場面での勝負強さが光ります。

デスパイネ そういう状況で回ってくるということは自分でも興奮します。キューバ時代から“四番”というのは一番責任がある打順でした。チャンスで回ってくることは分かっていますし、責任ある打順で打たせてもらっていることに喜びを感じます。それでも大切なのは、状況に応じたバッティングができること。そして勝利につながる打点を挙げることですね。

――3年目を迎えて、相手のマークが厳しくなっていると感じますか。

デスパイネ そうですね。厳しくなっているところもあると思います。日本は素晴らしいピッチャーが多い。前の打席でボクが打ったとしたら、次の打席では配球を変えてくる。それを可能にするコントロールも皆、素晴らしい。でも、自分も日本の野球に慣れてきていますし、それが今のところ結果につながっているのかなと思います。

――来日当初、キューバと日本の野球の違いに戸惑いはありましたか。

デスパイネ 日本は作戦面で細かい野球が多いですね。スクイズ、バント、ヒット&ラン……。キューバを含めたラテン・アメリカでは、足の速いバッターはたくさんいますが、最後はパワーで勝負をする。細かいことはせずに、基本的に強い打球を打っていく。その違いに最初は戸惑いました。でも日本に来ることでそうした新しい経験ができているわけで、それはすごく自分のためにもなっています。これからも、自分が与えられた役割をどんどん実行していきたいと思います。

キューバと日本でフル参戦する難しさ



――日本の環境はいかがでしょうか。もう慣れましたか。

デスパイネ もうすっかり生活にも慣れましたし、日本の穏やかで静かな、安全な感じはすごく好きですね。海外ではあまりそういうところがないのですが、日本はすごく野球に集中できる環境だと思います。ボクは落ち着いて野球に取り組みたいですし、そういう環境にあるのはすごくうれしいです。それに環境だけではなく、日本人がとても素晴らしいと感じています。チームの仲間はもちろん、対戦相手の選手たちも自然にあいさつをしてくれるので、そういった人間性というか、日本人のキャラクターは大好きです。

――キューバの国内リーグでのプレーと日本でのプレーで意識の違いはありますか。

デスパイネ キューバであっても、日本であっても、1試合1試合、全力でやっています。常にどの試合でも100%でプレーしていますよ。それにロッテというチームが好きだし、キューバの家にいるかのように、落ち着くことができるんです。

――ただキューバの国内リーグ、代表戦、そして日本でのプレーと、違った環境で多くの試合をこなす難しさがあるのではないでしょうか。

デスパイネ 確かに昨年はちょっと、自分としてもなかなか厳しいシーズンでした。最初はキューバのリーグでプレーし、7月にはパン・アメリカン競技大会に代表として出場するためカナダへ行きました。代表では日本の野球とは違う野球をプレーして、そこからまた日本に帰ってきて……。さすがにこれだけ試合をすると、正直疲れが残ってしまいました。

――しかし、今年はキューバのリーグではプレーしませんでした。

デスパイネ 昨年の日本のリーグの終盤戦で腕をケガしてしまったのですが、年末のプレミア12には出場しました。そのときにトレーナーから、「キューバのリーグに出場しないで、ゆっくり休んで備えたほうがいい」と言ってもらいました。キューバ代表の国際大会も今のところ予定がないので、今年はもっとロッテに、日本のリーグに集中することができます。

――それでは、これまで以上に楽しみなシーズンになりますね。

デスパイネ そうですね。1年間、ロッテでプレーができるのは楽しみです。今年は開幕の1カ月前から日本に来ることができて、準備も万端です。ちょっとしたケガ、小さな痛みはありますが、この程度の痛みなら我慢できますし、神様に1年間、大きなケガだけはしないように、全部の試合に出られるようにお願いしたいと思います。

若い選手とベテランが融合した“和”こそがチームの強さの源泉。デスパイネもそのポジティブな雰囲気を心地よく感じている

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