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2016助っ人特集

今後はどうなる?日本とキューバの野球交流

 

今季も派遣制度でデスパイネロッテでプレーするなど、プロアマ問わず日本とキューバの野球交流は盛んだ。だが、2014年12月にアメリカとキューバが半世紀以上ぶりに国交正常化交渉を開始。今後実現されれば、これまで54年間、亡命でしかプレーすることができなかった世界一と言われるMLBへ、正規ルートを使ったキューバ選手の大量流出の恐れが出てきた。そうなれば日本も今までと違った対応が求められる。そこで、今後の日本とキューバの野球交流について考察していこう。
文=福島良一(MLBアナリスト)、写真=BBM

派遣制度第1号として巨人に入団したキューバの至宝・セぺダ


選手派遣制度にプロ野球がいち早く反応


 2013年9月、キューバ政府は自国内でしか競技活動を許さなかったスポーツ選手の国外プロ活動を認めた。国技の野球を中心に新たな外貨獲得の手段として、世界の主要リーグに有力選手を派遣する「選手派遣制度」を導入した。日本のプロ野球もいち早く動き、14年4月に巨人がキューバ代表の主砲・セペダ獲得に成功。5月にはDeNAがグリエル、7月にはロッテがデスパイネと契約。政府公認ルートでスター選手が続々と渡って来た。しかし、キューバの至宝と呼ばれたセペダの不振やグリエルの退団騒動もあり、日本の球団に同国の選手獲得を見合わせる動きが感じられる。今季、日本球界にキューバ人選手(亡命選手含む)は7人いるが、正規ルートでの来日は前述のデスパイネ、巨人のメンドーサの2人だけだ。

 対照的に、14年12月にアメリカ政府はオバマ大統領がキューバ政府と国交正常化する方針を表明。昨年7月、両政府が相手国の首都に再び大使館を設置し、1961年の断交以来54年ぶりに国交回復を推し進めている。これによりこれまでの日本とキューバの関係も厳しいモノになる可能性が高くなってきた。

 MLB機構のロブ・マンフレッドコミッショナーは「これはアメリカ球界にとって大きなチャンスと言える。キューバ市場に乗り出すことは経済的な観点からも新たな機会増大となり、さらなる柔軟性を与えることになる」と声明。国交正常化に伴うキューバ市場の開放を大歓迎した。

 さらに同コミッショナーは・・・

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