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変化球特集2016

里崎智也が語る変化球論「球種なんてピッチャーの言ったもん勝ち」

 

ここまでの特集を読み、実際に新球を試してみたい読者も多いはず。だが、その前にぜひ、このページを一読してもらいたい。投手にとっての良い変化球と、打者、あるいは捕手から見た良い変化球は同じなのか。強打の捕手として知られ、リーグ優勝、日本一、WBC優勝を経験している百戦錬磨のOBに変化球論を聞いた。
取材・構成=吉見淳司、写真=BBM


なぜ変化球は打ちにくいのか


 よくプロとアマの投手の違いとして、球速やコントロールの精密さが挙げられますよね。では、変化球においてのそれは何か、と考えると、変化のキレだと言えるでしょう。曲がり幅や落ち幅の大きさや、ストレートとの球速差などが大きく違うところです。

 ただ、プロの打者ならば、「○○を投げます」と言われて投げられれば、どんなボールでも打ち返すことはできます。変化球を打つのが難しいのは、ストレートを意識させられているから。僕の現役時代を振り返っても、この投手のこの球種というのは特にないんです。松坂大輔(ソフトバンク)など、ストレートのいい投手のほうが印象的ですね。

 身もふたもない言い方ですが、来るのが分かっていても打ち返せる確率が最も低いボールは、速いストレート。なぜ変化球を打つのが難しいかというと、ストレートがいつ来るかが分からないからだと言えるでしょう。

 また、変化が大きいからいいボールということでもありません。変化が大きいということは、曲がり出し(落ち出し)が早く、スピードもないということでもあります。バッテリー間の距離は18.44メートルしかないのですから、変化には限界があります。フォークとスプリットのように、一概にどちらが優れているというものではなく、状況によって変わるものです。

 キャッチャー目線で考えると、大切なのは変化の大きさではなく、その球種を思ったところにコントロールできるかどうか。極端に言えば、満塁でスリーボールノーストライクとなった場面で、そのボールを投げられるか、です。

 球種が多いに越したことはないでしょうが

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