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2016ドラフト特集

江陵高・古谷優人 北海道にドラフト戦線注目の150キロ左腕

 

2016年の高校生左腕で“大台”突破を遂げたのは、北海道で技術を磨いた球児だった。6月4日の練習試合(対札幌日大高)で、視察に訪れたスカウトのスピードガンで150キロを計測。野球はスピード勝負でないことは百も承知だが、周囲を納得させるだけの“数字”を残したのは事実だ。
取材・文=岡本朋祐、写真=田中慎一郎、BBM

6月4日の練習試合[対札幌日大、写真]で自己最速150キロを計測。テークバックが小さく、インステップから早い動作で腰を回転してくるため、ボールの出どころが見づらいのが特長。最速150キロの真っすぐに、鋭く変化するスライダーが持ち味だ


山田哲人をいかにして抑えるかを考える日々


 投手で一番打者、しかも主将。傍から見れば「負担」に映るが、古谷優人にとっては、真逆の発想だった。むしろ「充実」していると言うのだ。

「試合で野球をやるのが大好き!人よりも多く出られることのほうがラッキーだと思っています。人よりも1打席でも多く立って、マウンドでもチームのために貢献する。疲れ?感じたこともありません」

 確かに実績が古谷の“野球好き”を物語っている。1年春から登板した古谷は、同夏の十勝支部大会ではすでに主戦。10年ぶり4度目の北北海道大会進出の原動力となると、2年夏には圧巻の投球を披露する。帯広農高との十勝支部予選1回戦で延長15回を210球、18奪三振、無失点。打線の援護に恵まれず、0対0で引き分けると、翌日の再試合も延長へともつれ、12回を170球、10奪三振で4失点完投(6対4)している。無尽蔵のスタミナに加えて、同秋には自己最速148キロをマーク。古谷の名は全道内にとどまらず、全国のNPBスカウトに知れ渡った。

 個性的な考え方は「好きなプロ野球選手」という質問にも出てくる。

 投手ならば、憧れのピッチャーを挙げてくるものだが、古谷が真っ先に言ってきたのが「ヤクルト山田哲人さん」。その視点がまた、個性的であった。

「対戦したとしたら嫌なバッターだな、と。どこに投げてもヒットにされそうな気がするんです(苦笑)」

 古谷にはスライダーというウイニングショットがある。谷本献悟監督が「見たことがない。曲がり方、曲がる速度、角度、幅……。尋常ではない」と絶賛する武器を携えているが、対山田には「持っていかれそうです」と、古谷は苦笑いを浮かべる。

 もちろん、江陵高のエースとしてチームを勝利へ導くことが最優先だが、その先には「プロ野球」の夢がある・・・

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