このインタビューは9月1日の福井優也選手登録抹消以前に行われたものとなります。
エース・前田健太(現ドジャース)が抜けた大きな穴。それを埋めるのはこの男だと、多くのファンが期待したはずだ。だが、待ち受けていたのは屈辱の前半戦。それでもそのままでは終われない。8月24日、首位攻防・巨人戦で魂のピッチングを見せ、チームにマジックを点灯させた。 取材・構成=吉見淳司、写真=前島進、BBM 値千金の巨人戦勝利
──昨季に自己最多の9勝を挙げ、今季に期する思いは大きかったと思います。
福井 そうですね。もっとできると思っていました。2ケタは勝ちたいと思って臨んだんですけど……。
──シーズン前から開幕投手への意欲を口にするなど、気合十分でした。
福井 「普通にやれば勝てる」と思っていたんですけど、それができなかったですね。悔しい気持ちはありますけど、ずっと悩んでいるよりは、今できることをやろう、と。来年につながるように後半戦はしっかり一軍に残って、チームのために投げて、来年のステップアップにつなげたいと思っています。
──その気持ちの切り替えはいつごろできましたか?
福井 正直、自分が二軍にいるのに、チームが勝っているときにはあまりそうは思えませんでした。でも、一軍に昇格して投げさせてもらい、「やっぱりここで投げていないとダメだ」と感じました。そういう意味では最後まで、しがみついてでも一軍で投げ、打たれても経験だと思えるようになったので、それを糧にしていきたいですね。
──振り返ってみて、前半戦にうまくいかなかったところは。
福井 いまいち分かっていない部分もありますけど、流れとしてはあまり良くなかったかなと。自分としてはキャンプやシーズンの序盤からそれほど変わったことはやっていないつもりでしたけど、気持ちの中で弱い部分が出てきたり、「しっかりしないと」と意識し過ぎた部分はあったかもしれません。後半に上がってきたときはチームがいい形で勝っていたので、そこで僕が引っ張っていくというわけではなく、その波に乗っていくというか、チームの輪の中に入っていくことだけしか考えていないですね。
──福井選手がいない中で11連勝を果たすなど、チームは好調でした。素直に喜べない部分もあったと思います。
福井 そうですね。やっぱり素直には喜べないですね。それは今、二軍にいる人たちも同じだと思います。チームが勝つことはうれしいですけど、自分のチャンスがなくなると考えたら手放しでは喜べませんよね。その気持ちはみんなも持ってほしいと思いますし、そこを否定する必要はないと思います。喜べない気持ちも大切な部分じゃないでしょうか。
──7月28日の巨人戦[京セラドーム]で復帰登板を果たしましたが、昇格を伝えられたのは。
福井 1週間くらい前ですね。特に変わったことはやっていないですけど・・・
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