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特集・広島感涙V!

「僕らも船になろう!」 広島カープ キャンプ初日から始まる優勝への軌跡

 

ついに広島カープが頂点に立った。エース・前田健太の移籍もあり、開幕前の下馬評は決して高くなかった。しかしながら首脳陣、選手は違った。25年ぶりの悲願に向かう船は、2月1日、キャンプ初日に出航していた。


大きかった黒田の言動



 春季キャンプインの2月1日。すべてはここから始まった。選手会長・小窪哲也の声出しだった。

「ここ宮崎の日南には飫肥杉という杉があります。湿気に強く、丈夫でなおかつ柔らかい。25年の歳月をかけて、船の材料になる。僕らも25年目。船になろう」

 1発目のノックでは菊池涼介が全開で声を出した。2015年は4位に終わるBクラス。しかし何にも代え難い一体感があった。黒田博樹新井貴浩のベテランは自分を追い込んだ。そんな姿に、チームはまとまっていった。

 最高の雰囲気はもちろん。なおかつルール変更も味方につけた。キャンプイン2日目から走塁練習に時間を割いていた。「野球が変わる」と緒方孝市監督。新任の河田雄祐外野守備走塁コーチとともに、コリジョンルールへの対応にいち早く取り組んだ。伝統の機動力野球の完全復活。緒方監督はその全権を河田コーチに託した。

「正直言って(それまでは)ひどかった。でも監督に言ってもらえて好きにやらせてもらった」

 すべてを1から、それこそリードの取り方から始め、基本からたたき込んだ。

 投手陣の一番の懸念は、前田健太が抜けた穴だった。15勝、かつ200イニング。だが悲観する声は意外にも少なかった。昨季、拾えなかった中継ぎ陣での勝利と、野村祐輔の復活。あとは新人即戦力の力があれば、と言われていた。「マエケンが抜けた穴」と言われるのを避けたいプライドが、先発投手陣を奮い立たせた。

 中心に立ったのはほかでもない黒田だ。安心感を与える言葉、行動でチームを引っ張った。そしてそれはいつしか周囲の「黒田さんを勝たせたい」という思いへと変わっていった。それもまた、一体感を生む材料となった・・・

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