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開幕直前SPインタビュー

中日・吉見一起インタビュー ケガなく一年間「大事な試合で投げたい。」

 

球界最高峰の技巧派投手として名を馳せ、数々の栄光を手にしてきた右腕・吉見一起。近年は4年前に受けた手術の影響もあって苦心の投球が続いたが、昨季はチーム最多の投球回を記録。徐々にらしさを取り戻している。「再び第一線へ」。その姿は最下位からの巻き返しを誓うチームと重なる。
取材・構成=吉見淳司、写真=椛本結城、榎本郁也


モヤモヤ感はない


2013年に右ヒジのトミー・ジョン手術を受け、以降は10試合にも投げられないシーズンが続いた。しかし16年は長期離脱はなく、後半戦は閉幕まで先発ローテーションを守った。その中であるきっかけをつかみ、復調への手応えを得た。

『復活』ですか。そこは周りが決めることですが、僕自身は復活するとかそういう思いでやっているわけではないんですよね。これまでいいこともあれば、苦しいことも経験できました。復活するためにやっているというわけではない、というのが正直なところです。

 一つ言えるとすれば、主戦で投げたいという思いは強いです。大事な試合で投げたい。負けられない試合で投げたい。そういうピッチャーになりたいんです。

 去年、チームにとって大事な試合はなかったと思います。この試合に負けたら優勝できないとか、Bクラスになるとか。プレッシャーを感じるような試合はチームとしてはなかった。僕個人としては負けが先行したらどうしようとか、勝ち負けは自分ではどうしようもできないことですし、いらない情報なんですけど、そういう変なプレッシャーを感じたことはありましたけど、チームとして一つとなり、「この試合には負けられない」という試合は残念ながらなかった。

 僕はリーグ優勝した10年や11年にそれを経験させてもらっています。大げさかもしれないですけど、チームの今後を左右するような試合で投げさせてもらったこともあります。去年と比べれば、その当時のほうが充実感、投げている感は上でしたね。

 去年の投球回は131回1/3。13年に手術を受け、当初の予定では14年、15年には先発ローテーションに入ってバリバリ投げているつもりでいたんですけど、これも人生です。去年は自分の中では「フルに投げるのは無理だろう」と思って始まったシーズンでした。でも、何とか間隔を空けながらですが、1年間投げることができた。練習では味わえない感覚、ゲームでしか発見できないことをつかむこともできました。「ああ、こんな感じだったな。こういう投げ方だったな」と思い出すことができたんです。

 負け投手にはなりましたが、8月16日の巨人戦[ナゴヤドーム]で完投し、自分の中で「こんな感じかな」という部分がありました。体が動くようになった。動き出した。頭で思い描いていることを表現できるようになってきたという感触が。

 これまでは感覚の部分で狂いがありました。過去のことを追い求めるわけではないし、手術をしたからかどうかは分かりませんけどね。練習ではキャッチャーに「ボールが来てるよ」と言ってもらっても、投げている本人が・・・

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