現役時代、二塁手として史上最多となる8度のゴールデン・グラブ賞を獲得した西武の辻発彦監督。西武ライオンズ黄金期で堅守を誇った守備は、まさに歴代No.1だったと言っても過言ではない。二塁手守備の達人に、その極意を語ってもらった。 取材・構成=小林光男、写真=菅原淳(インタビュー)、BBM 三塁手から二塁手へ本格コンバート
──1984年、日本通運からドラフト2位で西武に入団した辻監督ですが1年目は41試合に出場し、その中で二塁手としては4試合の出場のみに終わり、29試合は社会人時代の定位置だった三塁手としての出場でしたね。
辻 この年限りで、二塁手のレギュラーだった
山崎裕之さんが引退されて、翌年から
広岡達朗監督は空いたポジションに私を抜てきしてくれました。実は社会人時代に都市対抗で1試合だけ二塁を守ったんですけど、それをたまたま西武のスカウトが見ていて、二塁手もできると思っていたらしいんです。
──三塁手から二塁手に本格転向して、難しさは?
辻 景色や打球の質が変わりますし、二塁手は逆の動きもあります。例えばスローイングにしても三塁手は左方向に投げるだけでいい。でも、二塁手は併殺のときは右方向に投げる必要があります。逆方向の動きは慣れが必要になるので、最初は苦労しました。自然と体が反応するようになるまでは戸惑いがありましたね。
──二塁手はやるべきことが多いイメージもあります。
辻 一つの打球に対して、動かないことがまったくないですからね。例えば三塁手は打球の方向だけに反応すればいいんですけど、二塁手は三遊間に打球が飛んだら、逆に一塁への送球のカバーリングに行かないといけません。
──三塁手の経験が生かされるところはありましたか。
辻 どのポジションも難しさはありますが、三塁手は強い打球が飛んでくるので瞬発力が要求される。緩い打球に対してはダッシュ力が必要。二塁手は打者と距離がある分、余裕が持てますが、だからと言って・・・
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