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全国各地に潜む「超高校級投手」

岡林飛翔(菰野高) 151キロ誇る最大の個性

 

取材・文=谷上史朗、写真=石井愛子

菰野高は市川卓[元日本ハム]、西勇輝[オリックス]、関啓扶[元中日]、辻東倫[巨人]、山田大樹[楽天]をプロへ輩出している。一流選手へと育つ“土壌”があるのだ


 昨秋時点のおそらく、高校生最速となる151キロを記録した右腕だ。ただ、この書き出しに少々躊躇いを覚える春の投球となった。いなべ総合高との三重大会初戦は相手エースも評判の渡辺啓五とあり、四日市球場にプロ10球団のスカウトが詰めかけた。その前で先発し3回をパーフェクト。最速は143キロも「ストレートである程度押せて、ゼロで抑えられたので悪くはなかったです」と振り返る内容だった。182センチ85キロ。好調時のストレートには押し込む強さがある。ただ、球質、制球力、そして球速も、投げてみないと……という面を抱える。エース左腕・村上健真が好投手であることを踏まえても、背番号の7が岡林の現状を示してもいる。

 2回戦と準々決勝の間に練習グラウンドを訪ねた。朴訥(ぼくとつ)とした語りの中から岡林の“これまで”を想像していると、噂の男の輪郭が浮かんできた。中学1年時には、松阪リトルで全国大会準優勝を果たしたが、込み上げてくるのは苦い思い出のみ。

「先発したんですけど初回に10点取られて4回コールド負け。メチャクチャ緊張してストライクが入らなくて四球、四球、押し出し、置きにいってタイムリー。テレビ中継があってビデオも残っているんですけど見られないままです」

 当時は外野が主の兼任投手だったが、とにかくコントロールで苦労した。それが、ヤングリーグの三重ゼッツへ進んだ中学2年の終わり。「ある日突然ストライクが入るようになって、そこから投げるのが楽しくなったんです」。しかし、順調に……とはいかず、一昨年5月の高校デビューもなかなかの乱れっぷり。苦笑いで振り返った戸田直光監督によると「練習試合で投げさせたら1イニングで7失点。ストライクが入らなくて、どうしようもなかった」というもの。この後、アーム式だったフォームを右ヒジから上げてくる形に修正。秋に実戦へ復帰すると翌春には球速が140キロに達し、6月には142キロ。秋の地区予選で149キロ、県大会2回戦(宇治山田商高)では151キロ。

「あの試合はばらついていましたけどボールが・・・

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