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ニッポンで輝け!助っ人インタビュー

日本で輝く驚異の二番打者 カルロス・ペゲーロ(楽天)インタビュー

 

昨季途中から加入した左の大砲が、好調な楽天打線をけん引している。日本野球の常識を覆す強打の二番打者、ペゲーロ。環境の違う国で活躍できている要因はどこにあるのか。
取材・構成=富田庸、写真=大賀章好


経験を生かして2年目に本領発揮


 来日したのは昨年7月で、下位に低迷するチームの打線強化が目的だった。そして迎えた2年目のシーズン。3月31日の開幕戦では4対4の同点で迎えた延長11回、オリックス澤田圭佑から京セラドーム中堅後方の5階席に届く推定飛距離140メートルの決勝2ランを放った。これが楽天快進撃への号砲となる。4月に入ると本塁打を量産し、同22日までに7本とした。その後はやや大きな当たりが止まったものの、相手投手に脅威を与える打撃は依然として健在だ。

「自分の調子うんぬんは置いておいて、結果としてチームの勝利に貢献できていることはうれしいよ。やはり、1年目の経験が生きていることは間違いない。入団当初は分からないことだらけで困惑したけれど、コーチやスコアラーの協力もあり、投手の攻め方も分かってきたんだ」

 開幕3戦目にも、9回に逆転2ランを放っている。オリックスに0対4とリードされていたが、8回に3点を返すと、9回二死二塁の場面でペゲーロが打席に入った。マウンドには侍ジャパンでも活躍を見せたクローザーの平野佳寿。3ボール1ストライクからの5球目、フォークを見事にすくい上げると、まるで前々日のVTRを再生するかのように、再び5階席にたたき込んだのだった。勝負どころでの集中力は並ではない。

「あの打席では、3ボールになった時点で、勝負してもらえないかと思ったよ。でも、甘い球が来たら逃さないように準備はしていた。打席に立ったらとにかく忍耐強く待ち、失投を一発で仕留めるようにしている。それだけ集中できているということだね。ビハインドの状況でも、あきらめているような選手はベンチに1人もいないんだ。それがいい結果につながっているのだと思う」

4月12日の西武戦[Koboパーク宮城]の初回に放った先制本塁打。丸太のような両腕と強じんな足腰を駆使したフルスイングは、他球団の脅威となっている


 実は2015年に「ペゲーロ獲得」に関する報道が日本で流れた。まずは阪神が興味を示し、そして巨人も獲得へ熱心に動いているということだった。結局、この話は実現しなかったが、ちょうどその1年後、楽天が獲得することになった。マリナーズ時代の11年、右翼ポール際に弾丸ライナーで本塁打を放ったことがある。その際、「すごい選手がいるもんだね」と当時のチームメート、イチローを驚かせるというエピソードも残した。

「正直、来日するまでは日本の野球についての予備知識はほとんどなかった。実際に来てから思った違いといえば、送りバントが多いということ。日本では初回でも一番打者が出塁すれば二番打者が送りバントをすることが多い。アメリカではバントをしないとは言わないけれど、日本ほどは多くない。これが“スモール・ベースボール”だと思ったね」

アクシデントから二番起用が浮上


 二番といえば、ペゲーロ自身が現在座っている打順だ。梨田昌孝監督はオープン戦当初、まずは茂木栄五郎の一番起用を決め、二番には藤田一也岡島豪郎などを試したが、なかなかうまく機能しない。そんな状況の中、先発候補が故障などで次々と離脱してしまう。打たなければ勝てない――。アクシデントの中で生まれたのが、ペゲーロの二番起用だった。

「いい打者には早く打席を回したほうがいい。それに三番にウィーラーが控えていると、ペゲーロで勝負せざるを得なくなる。四番アマダーまで外国人が3人並ぶ威圧感が脅威になるし、四球も増える」。梨田監督はその真意を語った。

「二番に座ることは首脳陣が決めたことであり、自分がどうこう言えることではないよ。ただ、いわゆる日本の二番打者としての働きを求められていないことは理解している。二番だろうがほかの打順だろうが、自分のバッティングを変えることなく試合に臨んでいるよ」

 大卒2年目、一番・茂木もここまで打撃好調だ。身長171センチのトップバッターに対し、二番打者は192センチと実に21センチ差の好対照コンビ。この2人がチームの得点力アップに貢献しているといえるが、ペゲーロは茂木のバッティングに一目置いていた。

「モギは僕が思うに、パ・リーグで最も良い打者の・・・

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