文=えのきどいちろう[コラムニスト]
例えばテナントビジネスとして考えよう。球場はすごく稼働率の悪い不動産だ。多くの場合、夜の何時間かしか稼がない。ショッピングモールやマンションと比較してもいいが、手っ取り早く大型駐車場と比べてみよう。「夕方6時オープンで、夜10時、延びてもせいぜい11時くらいまでしか営業しない駐車場」ってどうだろう。そんな殿様商売聞いたことがない。
球場はお金では割りきれない存在なのだ。たぶん僕らが考えるよりずっと公共性のある建物だ。アメリカ人の友人は、これを教会にたとえる。地域コミュニティーの拠りどころというわけだ。日曜の教会で家族どうしが顔を合わせるように、球場が人と人を結びつけている。
あるいはアメリカの野球小説が大抵「父と子」のタテ軸の物語を下敷きにしているように、球場は世代をつなぐ・・・
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