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時代を担う遊撃手インタビュー

広島・田中広輔インタビュー 不動の存在の矜持 「守りでは二遊間が引っ張っていかないといけないと思っている」

 

現役遊撃手の中では、タフさにおいて田中広輔の右に出るものはいない。負担の大きいポジションで昨季は全試合にフルイニング出場し、25年ぶりのVに貢献。今季も開幕から休むことなく躍動を続ける攻守の要に、胸に秘める譲れない思いを聞いた。
取材・構成=吉見淳司、写真=太田裕史、BBM ※成績・記録は6月10日時点


マツダスタジアムで守るメリット


──昨季に全試合フルイニング出場を果たし、今季も開幕から継続しています。

田中 試合に出続けるということは、結果を残すということよりも大前提に置いています。昨季、全試合に出たことは自信になっていますし、その中で体力面やメンタル面に関しては今季に生かせていると思いますね。

──体力面でいえば、屋外球場のマツダスタジアムを本拠地としている以上、他球団と比べてもタフでないと務まらないのでは。

田中 暑いのはどこに行っても暑いですからね。そこはあまり気にしていません。大きな違いは土の上で守れるところですね。それは人工芝に比べれば少しはラクだと考えています。守りやすいというよりも、負担が少ないので。疲労の蓄積を考えれば土のほうがいいですね。

──すっかり不動の一番・遊撃手となっていますが、攻撃、守備ともに多くの出番が回ってくるポジションです。例えばミスをしてしまった場合の気持ちの切り替えはどのように心がけているのでしょうか。

田中 ミスをしてしまっても絶対に次の打席、次の守備機会は回ってきますからね。切り替えるというよりは、次のプレーに集中することを意識しています。試合に出始めたころはどうしてもヒットを打ちたい、エラーをしたくないという気持ちが強かったですけど、出続けるようになってからは、毎日試合がありますし、シーズンは長いですから。その中でいい意味で開き直っているというか、「次、やらなきゃいけないんだ」という気持ちになっていますね。

──日によって体が重いなど、コンディションはさまざまだと思います。

田中 試合前にマッサージを長めに受けたり、ランニングを多くしたり、キレを出すためにアジリティー(俊敏性)系のトレーニングを行うこともありますね。


捕れる範囲は全部捕りたい


──まずは守備について聞きたいのですが、広島はゴロを打たせて取るピッチャーが多いことが特徴です。その中でショートを守るうえで重視していることは。

田中 コントロール良く、低めに丁寧に投げるピッチャーが多いですからね。キャッチャーのサインと投手の力量によって、守備位置を変えることは心がけています。

──ピッチャーによって守りやすい、守りにくいということもあるのでしょうか。

田中 それは当然あります。やっぱりテンポ良く投げているピッチャーは守りやすい。もしボールが続いても、あるいはポンとヒットを打たれても、変わらずにしっかり自分のペースで投げられているピッチャーはこちらもリズムに乗れますから。

──テンポの悪いピッチャーの場合の対策はありますか。

田中 体が止まってしまわないように守りながらストレッチをしたり、気持ちがキレないようにより集中するようにはしています。

──田中選手の守備の持ち味は、打球への反応速度だと感じますが、そこへの意識は。

田中 打球に対する一歩目、速さは心がけてプレーしています。それは守備練習のときから、少しでも速く、ということを考えています。

──昨季のプレーになってしまいますが、9月15日の巨人戦[マツダ広島]では三塁手の安部友裕選手がはじいた打球をカバーして一塁でアウトにしたり、今季の6月9日の楽天戦[Koboパーク宮城]では6対2の5回二死一塁で、セカンドベース寄りの強いゴロをスライディングキャッチするなど、深い打球は田中選手の見せ場ではないでしょうか。

田中 僕に限らず、ショートを守っている選手は・・・

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