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指揮官クローズアップ

楽天・梨田昌孝監督の人心掌握術 キャリアを生かした我慢強さと柔軟性、決断力のバランス

 

快進撃を見せるチームを束ねるのは、就任2年目の梨田昌孝監督だ。硬軟織り交ぜ、不気味な冷静さを保ちながらタクトを振るう。勝負の夏場以降へ、次なる一手が注目される。
写真=大泉謙也 ※成績・記録は6月24日現在

優しさと非情さを使い分けながら、長いシーズンを戦っていく


大胆起用の陰に周到な準備あり


 大胆な決断から、梨田昌孝監督の就任2年目のシーズンはスタートした。開幕を前に、チーム内にインフルエンザが蔓延。開幕投手を予定していた岸孝之が離脱を余儀なくされた。WBCから戻ったばかりの則本昂大に、無理をさせるわけにもいかなかった。そこで開幕投手は美馬学。その時点での状態や実績を考慮しての決定だったが、美馬にしてもキャンプ中に腰痛を訴え出遅れるなど、万全というわけではなかった。開幕戦の相手はオリックス金子千尋。投手戦では分が悪いと判断した現役最年長指揮官は、手堅くいきたくなる開幕戦にもかかわらず、バクチのような超攻撃的布陣を敷いた。

 成長著しい2年目の茂木栄五郎をトップに据えると、二番から右翼・ペゲーロ、三塁・ウィーラー、指名打者・アマダーと重量級の助っ人3人を並べて起用。さらに、二塁には名手・藤田一也ではなく銀次を起用し、右ヒジに不安のあった今江年晶を一塁に入れた。守備力には目をつぶった打力重視のスタメン。そして、このギャンブルともいえる勝負手が完璧に“はまった”。開幕戦、今江の先制打を含む3安打、銀次の1号ソロなどで5回までに4点を奪い金子を降板に追い込む。さらに、延長にもつれ込んだ11回には、ペゲーロが決勝の1号2ラン。これに手応えをつかむと、「八番・左翼」以外は同じオーダーで開幕3連勝を飾り、最高のスタートを切った。

 当初、このオーダーはオプションの一つに過ぎなかった。開幕戦を前に、指揮官が・・・

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