楽天のブルペンを見渡すと、CS経験者はほぼいない。だが、その怖いもの知らずぶりが、強みになりそうだ。21歳の若きクローザーが目を輝かせる初舞台。そのときに向け、準備を着々と進めている。 取材・構成=阿部ちはる、写真=桜井ひとし ※成績・記録は10月1日時点 順位よりもまずはやれることをやるだけ
順位争い、さらにはクライマックスシリーズ(CS)の本拠地開幕を懸けた戦いは熾烈を極めている。なかなか勝ち切れない試合が続く中で、松井裕樹は至って冷静だった。それはキャリアハイを目前とした状況でも、マウンド上でも変わらない。勝利へのこだわりだけが左腕を突き動かしている。 ──2位・
西武とのゲーム差がなかなか縮まらず、緊迫した試合も続いています。
松井 本拠地開催への思いはもちろんありますけど、相手もあることなのでやれることをやるだけかなと思います。緊張感とかも、特には感じていないですね。でもやっぱり西武の結果は気になります。ただ、だからといって緊張するということはないですね。
──10月1日時点で33セーブは2015年の成績と並んでいます。あと1セーブでキャリアハイです。
松井 離脱がなかったらもっと上積みはあったので、ちょっと物足りないですね。
──残り試合数が少ない中で、そこはクリアしていきたい数字の一つでは。
松井 そうですね。そうですけど、やっぱり先ほどの話にもあったように、今はまだ2位という可能性が残っているので、セーブがつかなくてもいくことはあると思いますし、自分の登板機会を大事にして、チームの力になれたらと思います。
──今年は終盤まで防御率も0点台をキープするなど、素晴らしい安定感です。
松井 ランナーは出すんですけどね。そこからは気合いです。(ランナーを)かえさなければいいかなと。
──ランナーを出すとギアが上がるという感覚でしょうか。
松井 ランナーが出たほうが集中できるというか。一塁にランナーがいたほうがちゃんと投げているかなという気はするんですよね。最初からやれ、と思うんですけど(苦笑)。だからランナー一塁のつもりで投げようかなと思っています。
──例えば自分が出していないランナーでも、気合いが入る?
松井 途中から行くことがあんまりないので分からないです。そういうタイプじゃないと思われているので(苦笑)。多分いけるはずなんですけどね(笑)。
──ランナーを出しても抑えられるというのは、自信にもつながっているのではないでしょうか。
松井 そうですね。出したところまでは・・・
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