2017年、日本中の注目を集めた男だ。3月に開催された第4回WBCで、侍ジャパンの正捕手となり一躍脚光を浴びた。世界を相手に飛躍的な成長を遂げ、得難い経験をした小林誠司は一転、ペナントレースでは苦しむこととなる。チームが11年ぶりのBクラスに転落したことへの責任を感じる一方で、ディフェンス面ではゴールデン・グラブ賞とバッテリー賞の初受賞に手応えも。チームの勝敗に向き合う苦悩と、新シーズンへの展望を聞いた。 構成=坂本匠、写真=高塩隆(インタビュー)、BBM、協力=Dining DEUX MIL(ドゥ ミル) 失点と遊び心
待望の報せが届いたのは2017年11月9日のことだった。守備の名手に贈られるゴールデン・グラブ賞を初受賞。セ・リーグ捕手部門での得票数163(満票259)は、ペナントレースを制した広島・會澤翼(2位=28票)を大きく引き離してのもので、リーグ最少失点に導いた小林誠司のディフェンスに対する高い評価の表れである。しかし、喜んでばかりはいられないのもチームの勝敗に大きく関与するポジションだからこそ。まずはその苦悩から。 ──新たなシーズンに向けて動き出しているとは思いますが、まずは2017年を振り返ってください。ペナントレース開幕前にはWBC出場もあり、ハードな1年だったと思います。
小林 ハードな1年……、確かにそのとき、そのときはハードに感じていたように思いますが、すべて終えて振り返ってみると、疲労感よりも、素晴らしく貴重な経験をさせてもらったな、という気持ちのほうが強いです。初めてWBCを経験して、日本代表、日の丸に対する気持ちもより強くなりましたし、あの舞台で成長させてもらったことは感謝しかありません。プレッシャーは想像以上でしたけど(苦笑)。ただ、ペナントレースのほうでは不甲斐なく、正直、自分が情けない。
──情けない、ですか。
小林 僕個人としてはもっと打たなければいけないですし、やっぱり、チームの勝敗。特に17年は目標として優勝したい、日本一になりたいというものがあったので。4位というチームの結果は……。
──小林選手は常々キャッチャーとして、「勝つことがすべて」と話しています。そういった意味でも、17年の結果は堪えた。
小林 そうですね。勝てなかったので。本当に情けないです。
──とはいえ、守備面のパフォーマンスを高く評価されています。ゴールデン・グラブ賞を初受賞。小林選手にとってはプロ入り後、初の個人タイトル獲得となりました。
小林 プロ野球選手である以上、ゴールデン・グラブ賞は欲しいタイトルでした。でも、守備面に関しては・・・
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