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プロ野球魔球伝説

【スライダー編】“魔球”は進化を辿り、多くの派生球種も誕生/球史に燦然と輝く忘れがたき変化球

 

腕の振りは真っすぐと同じ。カーブより球速があり、リリースした腕から反対方向に滑るような軌道を描く。弧を描くのではなく、打者の近くでクイッと鋭く変化する。カウント球、勝負球と幅広く使える万能球。親指を起点にタテの回転を与えると、バットの芯を外すように曲がりながら沈む。

稲尾の投げるスライダーは“消える魔球”と呼ばれた


数種類を使い分ける


 いまや一口に「スライダー」と言っても、投手によっては投げ方どころか握りさえも異なり、変化もさまざまで、分類の難しい球種でもある。

 日本球界でスライダーを初めて自分のものとしたのが藤本英雄(元巨人ほか)だ。中指が多少、外のほうへ曲がっていた藤本は、その身体的特徴から投じるときのコツをつかむと、1950年6月28日の西日本パイレーツ戦(青森市営)で日本初の完全試合を達成した。また、サイドスローの大友工(元巨人ほか)は長い中指を生かし、ボールが浮かび上がりながら変化した。52年7月26日の松竹戦(大阪)でノーヒットノーランを達成し、初のMVPに輝いた53年には日本野球(10月31日、後楽園)でジャイアンツから完投勝利をマーク。“魔球”の存在が大偉業をもたらした。

 中指を生かした藤本と大友に対し、「人さし指を使って、スピンをかけるイメージで投げた」のが、西鉄の・・・

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