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徹底調査!野球の謎

トミー・ジョン手術の謎/徹底調査!野球の謎

 

ヒジの故障を負う投手は少なくない。「ヒジの(内側)側副じん帯損傷」もその1つ。果たしてじん帯損傷とは何か。また、治療法の代表例であるトミー・ジョン手術とは?慶友整形外科病院(群馬県館林市)で、整形外科部長・慶友スポーツ医学センター長を務める古島弘三先生に解説していただいた。

古島弘三[慶友整形外科病院/整形外科部長・慶友スポーツ医学センター長]


ヒジのじん帯損傷とは?なぜ起こる?


 投球動作などで繰り返されるヒジへのストレスが原因でじん帯に傷を負った状態のものです。程度はどうあれ、1度傷めてしまったじん帯は、どんなに休みを与えてもピンと張った綺麗な状態に戻ることはありません。時間が経過して痛みを感じなくなったとしても、再び投球動作を行なえば蓄積して悪くなり、最後には投げられなくなるほどに。こうしたじん帯は組織として働かないものとなってしまっているのですが、劣化したゴムをイメージしてもらえると分かりやすいと思います。劣化したゴムは伸びて硬くなり、亀裂が入って最後は切れる。投球動作によって傷ついたじん帯も同様でしょう。

 ヒジを守る要素としては筋肉、骨、じん帯がありますが、前腕に負担が掛かるボール(指にかけて投げるストレートが最も負担の多い球種です)を多投すれば、筋肉が疲労します。筋肉が疲労すると、筋出力(パフォーマンス)が低下するため、筋肉で支えていた力を何かで代用しなければならなくなります。骨では代用がきかないため、結果、じん帯に負担が掛かる、という仕組みです。筋肉が疲労した状態で投げ続ければ、じん帯に負荷が加わり続け、ケガのリスクが高まります。

 また、球種に関わらず、思い切り腕を振って投げたときに生じる負担は、ヒジの内側のじん帯が切れる強度を上回っている、という実験データがあります。もちろん、これを筋肉3割、じん帯5割、骨2割で分担して支えているのですが、投球ではたった1球投げただけでも・・・

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