新戦力の成長をうながし、主力に与え続けた刺激。セ・リーグ3連覇を成し遂げるために指揮官が意識してきたことは、“競争”と“覚悟”だった。 文=前原淳、写真=BBM “底上げ”へ与え続けた水
油断もスキもなかった。チームとしての危機には直面しても、他球団にスキを与えず。指揮官である
緒方孝市監督が毎試合のように「投手を中心とした守り勝つ野球」と口にする凡事徹底が、チームに浸透してきた証しでもある。
新戦力による上積みはなかった。昨秋ドラフトでは地元の星である広陵高・
中村奨成を1位で指名。獲得した6人の新人のうち、2人の大学生投手も素材型。実際、今季のルーキーは一度も一軍で出場していない。即戦力となる新戦力がいなければ、新しい戦力となる選手を育てるしかなかった。好素材を見つけるドラフト戦略が種を植える作業なら、若手に経験させることは水をあげる作業か。監督として「選手の力で育つものだけど、経験をさせることと足りないところを気づかせるのがわれわれの仕事」と自認する。
昨年も、まだ練習生だった
バティスタや
A.メヒアをチームづくりが最終段階となる開幕前まで一軍に帯同させた。周囲が懐疑的な目で見る中、「今だけを見ていない。その先も見ている。彼らは外国人選手としてではなく、日本人選手と同じように見ている。あれだけの力を持った日本人はいない。近い将来必ずカープの力になる」と話していた。彼らは同年に支配下登録され、特にバティスタは連覇に貢献する働きを見せた。
3連覇を目指した今季も・・・
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