6年連続のBクラスに沈んだチームの再建を託されたのは、かつての剛腕クローザーだった。指揮官として決断を迫られ続ける日々も、真っすぐな信念を持って決してブレることはない。“新米監督”の挑戦、そして選択とは──。 取材=坂本匠 構成=依田真衣子 写真=佐藤真一(インタビュー)、BBM 再建のため「今」に集中
昨年までのドラゴンズは知らない。知らなくていい。「今」を戦うのに必要なのは、過去ではなく今、そして未来へ向けての準備。日々向き合う姿勢を厳しく求める一方で、言葉からは選手への思いやりが見え隠れする。 ──今週号のテーマは「挑む」なのですが、これを聞いてどんなことを思い浮かべますか。
与田 “自分に挑む”というのが浮かぶかな。「己を知る」というのを一つのテーマとしてこのキャンプはやってきたので。もし自分が優勝チームにいたとき、どの位置にいるのか、レギュラーになれるのか。そういう具体的なことをイメージして、自分に挑むということですかね。
──監督を引き受けられたとき、ドラゴンズは6年連続Bクラス。どう感じられましたか。
与田 そのときは何も知らなかったですね。パ・リーグの
楽天でコーチをしていましたから。ずっと優勝していないのは知っていましたけど、6年連続は後から知りました。
──選手やコーチ陣からは、コミュニケーションが多くなったという声が増えています。
与田 意識・無意識、たぶん両方あると思うんですね。反応を見てみようと声を掛けるときもあれば、自然と接しているときもあります。それと、選手ではあるんですけれど、自分の子どもであり家族であると思えるようにと。それはスタッフも含めてです。そういう感覚で接していきたいというのはすごく思っています。
──コーチ陣にも、選手と積極的にコミュニケーションを取るように指示をされているんですか。
与田 それは言いましたよ。チーム全体に、スタッフにも話をしました。お互いを知るために。信頼関係を築く時間がないですからね。11月に就任してすぐオフで会えない時期があり、2月1日からキャンプインして2カ月後に開幕。その2カ月間でお互いの性格まで把握して信頼関係を築くのは、難しい。プロは単年契約の世界で、じっくり腰を据えてお互いを知る時間はないんですよ。だからより濃厚な時間を取ることを意識しなければいけないと思います。
──就任当時に「先発投手を整備したい」と。1年を戦うプランはどう考えていますか。
与田 それはざっくりとしか出来上がっていません。ケガ人がいたり復帰時期が分からなかったり。ただ・・・
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