39歳、12球団最年少監督として指揮を執る。思い切った選手起用に加え、ベンチの雰囲気も間違いなく変わった。青年指揮官が目指すチームの未来図はいかに。 ※成績・記録は6月9日時点 写真=井沢雄一郎 選手との厚い信頼関係
2年ぶりに首位で交流戦へと突入した
楽天。前年リーグ最下位の球団が、首位で交流戦に臨むのは2012年の
ロッテ以来、実に7年ぶり2度目のことである。
これは春の珍事でも、フロックでもない。今季からチームを指揮する
平石洋介監督あっての快進撃だ。12球団で最年少、39歳の青年監督は、ここまで選手の力を最大限に発揮させている。
その采配は「恐怖政治」とは正反対。選手を信頼し、ある程度の寛容さを持って接している。今の楽天ベンチには、かつてないほどの一体感がある。
たとえ致命的なミスをしたとしても、すぐに「懲罰」を与えることもない。例えば6月4日の
巨人戦、1点を追う9回無死一、二塁。バントを試みようとした
辰己涼介が、外角スライダーにバットを引いた。結果、飛び出した二走・
小郷裕哉が、二塁けん制でアウトになった。
この走塁死で流れを失うと、辰己、
オコエ瑠偉が連続三振に倒れ、チームは2対3で敗れた。平石監督が尊敬する指揮官の一人である故・
星野仙一氏(享年70歳)が監督ならば、激しいカミナリを落とされただろう。翌日、二軍に降格させてもおかしくはない。しかし青年監督に、降格させる考えはなかった。
「ミス、イ
コール二軍とは思っていません。もちろん、時と場合にもよりますけどね。それより次にどうするのかが、大事になる」
二軍落ちさせるどころか、その小郷を4日後の
中日戦(8日)で「八番・右翼」で先発起用。ドラフト7位の新人は、同点とされた直後の7回、決勝スクイズを決めるなど全2打点の活躍を見せた。期待に応えて2対1の勝利に貢献した。
「温情」の裏には、自らの苦い経験がある・・・
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