甲子園にたどり着くには、予選を突破しなければならない。全国屈指の激戦区と言われるのが神奈川県。そこで名勝負を繰り広げ、のちに楽天でチームメートとなったのがこの2人だ。2013年夏の直接対決を中心に、当時の思い出を語り合ってもらった。 取材・構成=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎(インタビュー)、BBM 黄色の横浜と水色の桐光
桐光学園高出身の松井裕樹と横浜高出身の渡邊佳明は最大のライバル校として神奈川県でしのぎを削った間柄だ。松井が3年、渡邊が2年の13年には春、夏と直接対決も果たしている。松井は2年時に甲子園に出場し、22奪三振で大会記録を更新、一躍有名となった。それを1年生の渡邊はテレビで見て翌年の神奈川大会は厳しい戦いになることを予感する。だが桐光学園高を破り、甲子園に出場したのは横浜高。それはジンクスか、実力か──。まるで古くからの友達のような息の合ったやりとりで当時を振り返っていくと、その答えが明らかになっていく。 ──高校時代は同じ神奈川で白球を追いかけていました。1学年の違いがありますが、当時は接点があったのでしょうか。
松井&渡邊 ないです。
松井 ライバルチームの一選手同士。話したのもプロに入ってからだよね。佳明は大学(明大)に行ってたので会うこともなかった。ただ、東京六大学には僕の同級生や友達もいたのでお互いの存在は近く感じていましたね。
──松井投手は高校時代、「横浜は一番のライバル」だとお話をされていました。横浜高に対してどういった印象を持っていましたか。
松井 神奈川県の中ではファンの多い学校なので、横浜スタジアムで試合をするときにはアウェー感があるな、と。1年生の夏に初めて対戦したときに、そういう印象を抱きました。横浜スタジアムでの横浜高校というのは、やっぱり強い印象がある。スタンドに見に来ている人はだいたい黄色いメガホン持ってるよね?
渡邊 そうですね。半分以上いますね。
松井 ネット裏も黄色なんだよな。でもオレが3年のときは、たしか桐光の水色が勝ってたよね?
渡邊 そうでしたね。前の年に松井さんが甲子園で22奪三振したので、松井さんのファンが急増したんです。
松井 そうかもしれないね。
渡邊 甲子園でのあの試合を見て、僕は「来年は甲子園に行けねーな」と思っていました(笑)。
松井 でも神奈川の夏を2年連続で制覇するのは本当に難しい。最近は横浜高がいってるけど。
渡邊 そうですね。その前に連覇したのは東海大相模高です。
松井 そっか。小笠原(
小笠原慎之介、現
中日)の代だよね。10年以上、連覇した学校はなかった。連覇はできないというジンクスもあった。
渡邊 あと、秋に優勝すると(夏の甲子園に)出られないというジンクスもありましたね。
松井 あー、あるあるある(笑)。そういったジンクスが・・・
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