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チームを勝利に導く 最強二番打者論

バントの神様・川相昌弘[元巨人、中日]が語る 二番打者論&2019の“トレンド”

 

現役時代は1990年代の強打の巨人で二番に座ってつなぎに徹し、指導者としては二軍&三軍監督として若手の指導に当たった川相昌弘氏に、二番打者に求められる役割、適性を聞きつつ、近年の二番打者のトレンドについて解説を依頼した。
取材・構成=坂本匠 写真=福地和男、BBM

巨人・坂本勇人「『二番最強説』を地で行く選手で、二番打者としてはこれ以上ない理想的な打者だと思います」


二番打者で大事なこと役(役割)に徹すること


 私が「二番・ショート」でレギュラーとして出るようになったのは、1989年、プロ入り7年目のシーズンのことです。藤田元司監督が復帰された1年目。直接監督に何かを言われた記憶はないのですが、藤田さんの就任が決まった直後、88年秋のキャンプ(アメリカ・パームスプリングス)は近藤昭仁さん(ヘッドコーチ)が指揮を執っていて、そこで「ピッチャー中心に守りの野球をする」「1点を確実に積み上げていく攻撃をする」とチーム方針を聞き、これはチャンスだと感じました。

 前監督の王貞治さんのころからどうやったらレギュラーになれるのかと考えてきましたが、当時は打てなければ出番はありません。ただ、どうにも自分のバッティングでは厳しいと考えていたところで藤田監督に代わり、「コツコツと1点を積み上げていく」と言うではないですか。希望が見えてきましたね。「打てなくてもいいや」と。その代わり、バントやヒットエンドラン、待球(追い込まれるまで待つ)に、右打ちでランナーを何が何でも進めて、後ろにつなぐ。そんな意識を持ち始めたところ、シーズン途中から二番で先発する機会が増えていきました。

 一番から九番までの打順の中で、二番は最も特殊な役割を持った打順だと私は思います。その特殊さを際立たせているキーワードが“犠牲(の精神)”です。エンドランでゴロを転がして進塁させても、個人記録は1打数ゼロ安打ですからね。打率的には落ちることになる。追い込まれるまで待って、少しでも多くの球数を投げさせて、クリーンアップに打ちやすい環境を作るのも(一、)二番の仕事でしょう。いろいろな面で自分を殺してチームのために徹するわけです。その中の1つにバントがあります。私は引退までに533犠打を成功させたわけですが、二番という役、もっといえば・・・

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