週刊ベースボールONLINE

原ジャイアンツ万感V

育成のジャイアンツ復活へ――。変わる組織とVへの貢献度

 

優勝へ王手をかけて挑んだ9月21日のDeNA戦(横浜)の先発マウンドに、ドラフト6位の高卒ルーキーの戸郷翔征が上がったことに驚いたファンは多いのではないか。原辰徳監督は「一丸」を強調するが、戸郷先発は今季、育成組織が果たしてきた役割を象徴するものと言える。変わり始めたファーム組織と、Vへの貢献度を探る。

戸郷翔征

一軍が優勝を決めた9月21日のDeNA戦[横浜]で一軍初登板初先発を飾る。二軍では4勝を挙げている右腕は5回途中2失点と堂々とした投球を見せた


情報共有と生チェック


 2018年10月22日、球団から発表された19年度の首脳陣の布陣には驚きがあった。二、三軍それぞれに監督を置くものの、コーチ陣は分けずに「ファームコーチ」という肩書で統一。翌日、就任会見に臨んだ原辰徳監督にも真意を問う質問が飛んだ。指揮官は「二軍監督、三軍監督は置きますが、チームというのは一つ。ファームスタッフの中で共有する。コーチの中でも競争し合う。それも必要だと思って、そういう形になりました」と明確に説明した。

 年が明けた1月。都内のホテルで行われた全球団関係者が出席するスタッフ会議の場でも、あらためてファームコーチ配置に関する意図が再確認された。二、三軍を行き来するだけではなく、期間限定で一軍に携わることもある。球界でも極めて珍しく斬新なアイデアだったが、戸惑う声は少なく、「二軍に行ったり、三軍に行ったり。ときには一軍にも行く。スカウトでいえばクロスチェックのようなもの。面白いと思う」とコーチ陣も前向きにとらえた。

 シーズン中には村田修一ファーム打撃コーチや杉内俊哉ファーム投手コーチが一軍の練習に参加した。二、三軍固定では不可能だったミーティングに参加し、一軍の練習も視察することでコーチ自身の勉強にもつながる。指揮官の狙いどおりであった。加えて・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング