18歳ながら“即戦力”の声も上がるほど完成度は世代屈指の逸材だが“ノビシロ”も十分。プロ挑戦の決意を含め、右腕の魅力をひも解けば発展途上の側面も見えてくる。 取材・文=鶴田成秀 写真=石井愛子 向上心と本能
周囲の熱と自己評価が一致しない。“運命の日”が迫る中、多くの報道陣が星稜高の野球部グラウンドに詰めかけ、練習中もカメラを向けられるなど、ドラ1指名が確実視される逸材の注目度は増すばかり。それでも当の本人は不安が口をつく。
「本当にプロ野球選手になれるのか。自分は、そんな投手なのか。今は何で(騒がれているの)? という感じもあるんです」
最速154キロの直球に、多彩かつ鋭い変化球を織り交ぜて打者を圧倒。“必笑”のチームスローガンがクローズアップされる一方、マウンド上では普段の柔らかな表情から一変する“強気”な姿勢も魅力だが、常に「まだまだ」と口にするなど、マウンドを降りると、いつも“疑心暗鬼”。だから「先を見過ぎず、一つひとつメニューをしっかりこなしてきた」と結果が出ても浮かれることはなかった。野球部グラウンドのバックネット裏にある、坂道でのダッシュなどの走り込みで体力と下半身を強化。さらに18.44メートルのバッテリー間より長い距離での投球練習で直球のキレに磨きをかけるなど、地に足を着け、努力を重ねてきた。
「ケツをたたかなくても自分から練習する」と星稜高・林和成監督が話すように、奥川の“不安”や“謙虚さ”は・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン