2019年シーズン、2年目のアンダースロー右腕は確かな成長を遂げた。先発の軸としてチームの日本一に貢献。オフシーズンは侍ジャパンの一員として世界の強豪に挑む。 ※インタビュー取材は10月23日 取材・構成=菅原梨恵、写真=榎本郁也、小山真司、佐藤真一、湯浅芳昭 日本シリーズで見せた成長の証し
日本シリーズ第2戦(10月20日、ヤフオクドーム)に先発した高橋礼は5回までパーフェクト。変化球を巧みに使い分け、テンポの良い投球で巨人打線を手玉に取った。大一番での7回を被安打1無失点の快投で、チームは2連勝。日本シリーズにおける本拠地連勝を14に伸ばして、日本一へと弾みをつけた。 ──日本一おめでとうございます。先発を任された第2戦は圧巻の投球でチームを勝利に導きました。
高橋礼 あの試合は、2ボールになってもスライダーでしっかりカウントが取れたりして、要所を締めることができました。特に右打者の坂本(
坂本勇人)さん、岡本(
岡本和真)のところは「インコース、絶対に甘くなるな」と拓さん(
甲斐拓也)にも言われていたので、そこで中途半端なところに投げず厳しく攻めることができたのはよかったかなと思います。
──昨年の日本シリーズでも中継ぎで3試合に投げていますが、今年は先発として1年間戦って実績も残したうえでの登板。心持ちは違いましたか。
高橋礼 昨年同様、短期決戦という意味では本当に力を出し切るというところしか頭になかったので、あまり心境の変化はなかったです。緊張はもちろんしましたが、それ以上に楽しんで投げることができました。
──楽しみながら、結果としても素晴らしい投球。もともと大舞台には強いのでしょうか。
高橋礼 そんなに強いほうではないですけど、今は野手の方も先輩ばかりですし、受けていただくのも日本で一番のキャッチャー。自分がもしミスをしたとしてもカバーしてくれるという安心感がある中で投げられている。自分としてもここまでやってきた自信がありますし、ミスを恐れずに野球が楽しくやれているなというのはありましたね。
──野球を楽しめるようになったのは、プロに入ってからですか。
高橋礼 大学のときは結構、苦しい時期も多かったので。やはりプロに入って、たくさんのファンの方が応援してくれていますし、今ここでこうやって投げられていること自体が幸せだなと思っています。そういうことがすべてにおいて楽しいなと思いましたね。
──日本シリーズの登板では、持ち味であるストレートのほか、スライダー、シンカーといった変化球が光りました。
高橋礼 ミーティングでも言われていたのですが、やはり巨人打線は真っすぐに強い打者が多い。一発を打たれないようにするとなると、低めの変化球が大事になってくるかなと。でも僕は真っすぐが一番の武器なので、強い真っすぐがあったからこそ変化球がうまく使えたのかなと思います。
──相手打線や自身の調子に合わせた投球の組み立ては、甲斐選手とのバッテリー間で磨かれていった部分だと思います。
高橋礼 シーズン序盤は特に真っすぐを多く使って抑えていき、中盤の6、7月ごろからはシンカーが有効的になってきました。でも、それに頼り過ぎたのか、自分のピッチングがよく分からなくなったときもあったんです。そんなときに、王(
王貞治・球団)会長が・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン