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2020ルーキー大百科

中日4位・郡司裕也×JX-ENEOS・大久保秀昭監督 慶大師弟対談 元プロ捕手が育成した「攻撃型司令塔」

 

捕手が試合を支配する。扇の要が安定したチームは強い。中日ドラフト4位の「打てるキャッチャー」はそれを体現した。今秋は東京六大学リーグ戦で打撃3冠、明治神宮大会では19年ぶりの優勝へ導いた。四番・主将の攻撃型司令塔を4年間指導したのは元近鉄捕手。確かな技術と精神力、体力を植え付け、プロの舞台へ飛び込む。
取材・構成=岡本朋祐 写真=椛本結城(インタビュー)


ずっと消えない称号


──今年のドラフトでは慶大から4人が指名を受けました。JX-ENEOS監督時代を通じて、捕手をプロへ出すのは初と聞いています。

大久保 初めてですね。しかも、今回は植田(植田将太ロッテ育成2位)もいますから捕手2人になります。いつも、郡司に言っていたのは、疲労度です。大学野球におけるリーグ戦3連戦(2勝先勝の勝ち点制)も相当、疲れるようですが、プロは140試合以上の長丁場。しかも捕手が1年間マスクをかぶるのはどれだけ、大変か……。

郡司 想像、つかないです。

大久保 それに伴う体力、精神力が必要で、そこにチームの勝敗がついてきて、自分自身の成績もある。

郡司 常々、言われているので、覚悟を持ってやっていきたいです。

大久保 ただし、苦労した代わりにやりがいはメチャクチャあり、結果を出しただけの見返りがある世界。郡司には侍ジャパンのレギュラーを奪取するくらいの意気込みで頑張ってほしいです。

郡司 今まで、プロは「入りたい」という未知の場所でした。大学4年間はとにかく、目の前のことに集中していましたので。監督の話からも、かなり厳しい世界に飛び込んでいくんだな、と実感がわいてきています。

──9月、東京六大学秋季リーグ戦の開幕2日前。連盟関係者、報道陣が出席した懇親会で、大久保監督は郡司選手を「日本一の主将にしたい」と言いました。その真意を、教えてください。

大久保 いつも私が学生たちに問うていたのは3点です。「日本一にふさわしいチームか? 慶應の部員、早慶戦の舞台に立つ部員として、ふさわしいのか?」と。4年間接してきて、郡司は「日本一の主将」にふさわしいと感じたんです。慶應の背番号10(東京六大学の主将ナンバー)を着ける歴史を知れば知るほど、重みを感じると思いますが、郡司の場合はそこまでプレッシャーにはならないだろう、と。郡司への期待も込めて、私があえて言うことで、実現させてほしいと思ったのが、あの発言の意図です。

郡司 僕が結果を残さないといけないのは当然、分かっていたことです。

大久保 私の発言を受けて「日本一の監督にしたいです」は、ネタだろ?

郡司 いえ、いえ……。仮に日本一に届かなかったとしても、監督の野球観、チームビルディングは日本一と確信していました。ただ、監督の指導が正解であることを示すには、結果しかない。

──今秋限りで監督を退任(10戦全勝優勝を阻止された早大2回戦後のミーティングで部員へ伝達)しましたが、郡司主将にも伝えていなかったんですか。

郡司 ちゃんとは聞いていないです。

大久保 いなくなっちゃうかもしれないよ〜というようなニュアンスでは発信していましたが、次第に情報も錯綜(さくそう)してきましたので……。郡司はドラフト指名漏れの場合は(大久保監督が12月1日から再び指揮を執る)JX-ENEOSだったので、そこは声を大にして連れて行きたいと思ったのが、本音(笑)。それは冗談として・・・

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