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独立リーグ師弟対談

西武3位・松岡洸希×BCL/武蔵・片山博視コーチ 独立リーグ師弟対談 無名右腕のプロ育成計画

 

高校時代は無名の存在だった松岡洸希が卒業後、わずか1年でプロの道へ進むことができたのはBCリーグ/武蔵に在籍したからだった。元楽天片山博視コーチの助言で遂げた劇的な変化。“プロ育成計画”のすべてを語り合う。
取材・構成=小林光男 写真=桜井ひとし 取材協力=鴻巣フラワースタジアム

※写真は一部加工


オーバースローからサイドスローへ


 松岡洸希が投手の練習を始めたのは桶川西高3年時の昨年春。それまでは内野手だった。だが3年夏の北埼玉大会も初戦の2回戦で花咲徳栄高の前に1対10で7回コールド負け。自身も3回途中から登板したが、優勝した花咲徳栄高打線を抑えることはできなかった。まったく無名の存在のまま高校野球を終えたが、松岡は心の中にプロへの思いが湧き上がるのを抑え切ることができなかった。

松岡 高校野球を引退したとき、上でプレーしたい思いが芽生えてきました。それまではなかったんですけどね。やっぱり、143キロが出て球が速くなったことが一番。大学や社会人に進む選択肢もありましたが、ドラフトにかかるまで大学だと4年、社会人だと3年、必要になります。それよりも、まだ若いので独立リーグで1年、1年勝負するほうがベターだと思い、BCリーグを選びました。大学から推薦も来ていて、少し迷った部分もありましたが、決断しましたね。

片山 松岡の投球を見たとき、体が横回転なのにオーバースローで投げているのが気になった。今後、NPBを目指すために、その投げ方だとヒジのじん帯を痛めるリスクを感じたので、サイドスローにしたほうがいいのでは、と。ただ、1年でドラフトにかかるとは思っていなかった。フォームを安定させるという意味でサイドスローにして、しっかり体づくりもして、20歳になる来年、勝負させようというイメージだったから。

松岡 サイドスローにした当初から投げていてしっくりきました。でも、最初はサイドスローというよりは、スリークオーターくらいでしたね。マスターするにあたって、YouTubeでサイドスローの動画を見て研究したんですけど、一瞬で惹かれたのが林昌勇投手(元ヤクルト)でした。ただ単純にカッコいい、と。ほかのサイドスローも素晴らしい投手ですが、林投手だけほかとは違った魅力がありました。それは速球派だったということです。林投手の投げ方を参考にしたら、徐々に腕も下がっていきましたね。

片山 僕も「変にコントロールしようとするな」というアドバイスはした。ボール1個の出し入れをしたいとか、厳しいボールを投げたいとか、そんなのはなかなかできない。だったら、高卒からすぐにプロへ行ける。それよりも、自分の良さを出してスピードのあるボールを投げたほうがいいから。

松岡 NPBに行きたいと考えたとき、僕は変化球をたくさん投げられるわけでもないですし、やっぱり速球でアピールするしかない。武蔵にはNPB出身の宮川(宮川将、元楽天)さんや辻(辻空、元広島)さんもいますし、そういう人たちにどういうスタイルのほうがNPBへの一番の近道になるか聞いたとき、やっぱり球の・・・

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