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2019年パ・リーグMVP新春BIGインタビュー

西武・森友哉インタビュー 満足することはない。 「ファンの期待を裏切らないように、しっかり結果で示したい」

 

2019年、連覇を果たした西武で光る活躍を見せたのが森友哉だった。捕手という重労働をこなしながら、打率.329、23本塁打、105打点をマーク。攻守に貢献度が高く、パ・リーグMVPにも輝いた。プロ6年目、24歳で球界の頂点に立った背番号10。2年連続CSでソフトバンクの前に敗れたが、悲願の日本シリーズ出場を果たすために20年、さらなる飛躍が期待される男に大いに語ってもらった。
取材・構成=小林光男、写真=川口洋邦(インタビュー)、BBM、取材協力=川越プリンスホテル


今一番欲しい能力は?


 2019年、捕手として史上4人目の首位打者に輝いた森友哉だが、16年のシーズン前に行ったインタビューで「打率」に関して以下のように語っていた。

「2シーズン、プロでプレーして感じたのは、アベレージを残すために必要なのは、まずは『気持ちの持ち方』だということ。『次の打者へつなぐ』とか、ランナーがいれば『そのランナーをかえす』という気持ちを強く持って打席に立つと結果は変わってくるんだなと思いました。それによって、ボール球に手を出すことも少なくなりますし、アホみたいな空振りも減りますから」。

 首位打者に輝いた19年、その心持ちに変化はなかったのだろうか。

──以前、アベレージを残すのに必要なのは気持ちの持ち方だと言っていました。

森 もちろん、そういったことも大事ですけど、単純に率を残そうと思うと四球も取らないといけないですし、率を残している人で逆方向に打てない人はいない。だから、逆方向にも打てる、コースによって打ち分けることは率を残すのに大切なことだと思います。

──19年は0ストライク時に122打数60安打、打率.492をマークしており、特に0ボール0ストライクでは77打数35安打で打率.455。初球から積極的に打つ姿勢も顕著です。

森 その日、その日で調子は変わってくるものです。自分のスイングができるときもあるし、スイングがにぶいときもある。それをいち早く、スイングして感じたいんです。そういう意味で初球から振ろうというのと、バッテリーからしてみれば初球はストライクを欲しいじゃないですか。ストライクが来る可能性が高いので、そのボールを狙おうと常に思っています。

──打撃でレベルアップしたい点は?

森 本塁打は特に意識していないですが、打率、打点にはこだわって。出塁率、得点圏も今まで以上にという気持ちはあります。

──出塁率はリーグ3位の.4125、得点圏は同1位の.411でしたが満足できませんか。

森 満足することはないです。打てれば打てるほどいいですし、打点に関しても得点圏でもっと打つことができれば増えていく。常に高みを目指してやっていきたいと思っています。

──それでは野球選手として今一番欲しい能力は何ですか。

森 ミート力(即答)。

──現状でもバットにボールを当てる能力は抜群だと思いますが……。

森 ミート力が上がればすべての数字が上がってくると思うので。今以上に芯に当たる確率が上がれば打点も、本塁打も、打率も全部上がっていくでしょう。

──そのために必要なことは?

森 特別フォームを変えようとも思っていないですが、今年(19年)、成功したこと、失敗したことはいろいろあって。成功したことはそのまま継続していきたいし、失敗したことは改善しながらやっていきたいです。

──成功したのはどういった点ですか。

森 タイミングの取り方、打球方向を意識して打つこと。後者に関しては、そうするとしっかり右肩が残ったままバットが出てきて、ヘッドも走りますし、ボールもよく見えるということですね。


転機となった言葉


 打率でパ・リーグのトップに立とうが満たされない思い。貪欲に上だけを見ている。果てない向上心。それが何よりも森の原動力となっている。

──プロ入り当初と現在を比較し、森選手が最も成長したと感じる点はどのようなところですか。

森 試合数を重ねていくごとに、ある程度、自分の中で余裕もできてきました。その日がダメでも次の日があると割り切れるようになったので、そこですかね。最初のほうはその日に打って結果を出さないと次の日に出番はないというプレッシャーがあり、1打席1打席、すごく緊張しながら、余裕もない感じやったんですが。昨年(18年)、今年(19年)くらいからはある程度、シーズンを通して試合に出て、その中で余裕が少し出てきましたね。

──17年にも転機となる言葉が。

森 秋元(秋元宏作)さんが一軍バッテリーコーチになった年でしたが、シーズン前に「今年は正捕手で頑張れ。正捕手を死ぬ気で獲りにいけ!」と言ってもらったんですよ。その次の日に骨折をしてしまったんですが(3月5日WBC強化試合、西武対キューバで左ヒジに死球を受けて)、でも、「やらないといけない」という気持ちが強くなりましたね。

──入団時から「打てる捕手」を目標に掲げてきましたが、理想にはどれくらい近付きましたか。

森 バッティングに関しては本当に目標以上のものが達成できた思いはあります。シーズン当初、目標は3割20本塁打でしたから。それを超えることができたのは、非常に良かったことです。ただ、やっぱり守りに関して言うとまだまだエラーも多いですし、ゲームを作れたという試合も少ない。打撃陣に助けられた部分も大きかったですからね。守りの、捕手という部分では課題がたくさんありますね。

──20年も首位打者は譲れない?

森 いえ、まずは3割20本塁打を最低ラインとして強く意識してやっていきたいですね。

──今まで対戦してきた投手の中で最も印象深いのは?

森 今年(19年)に限ってはオリックスの山本(山本由伸)君ですね。全部すごかったですね。いろいろな球種があって、全部いい。オールスターでバッテリーを組んで捕りましたけど、いいボールでした。

──プロ6年間で心に残る一打は何でしょうか。

森 初ホームランじゃないですかね(2014年8月14日オリックス戦=西武ドーム、榊原諒から)。アウトコースに来て、レフトにホームランというイメージが、なんとなく頭にあって、そのとおりりに打つことができたので、あれが一番うれしかった。理想のバッティングでもありましたから。

──性格はネガティブだそうですね。

森 試合5分前くらいに「バッテリーとして試合が作れるかな」という不安は毎試合出てきますね。まあ、不安というか、いい意味で緊張感を持ってやっている。それがなければフワッと試合に入ってしまうので、個人的にはよくないのかな、と。ある程度の緊張感は大切です。

──19年は2年連続でチーム防御率リーグ最低に終わりましたが、例えば若手投手に求めたいことは?

森 求めたいというよりは、いろいろな失敗もしないといけないですし、いろいろな成功もしないといけないですし、そのなかで一生懸命に投げる。どんなことがあっても一生懸命に投げることが大事なのかなと思います。

ライバルは山川


2019年のパ・リーグMVPに輝いた森[前列右から2人目]。コンベンションではベストナイン、新人王の表彰選手との記念撮影で中心に立った


 18年には山川穂高がMVPに輝いたが、2年連続本塁打王とは同期入団になる。13年ドラフトで森が1位、山川が2位指名を受けた。森が高卒、山川が大卒と年齢は離れているが、常に切磋琢磨する存在があったからこそ、今の森があると言っても過言ではない。

──山川選手の存在は大きいですか。

森 はい。1年目から遊ぶときも、野球のときも常に一緒にいますから。山川さん自身も野球が好きですけど、3年目に初めて四番を打ったときに今まで以上に目つきが変わって。やらないといけないという自覚が本人に芽生えた感じがあったんです。それに影響されて、自分もやらないといけないと意識が強まったところもある。分からないですけど、山川さんがいなければ僕もここまで来ていなかったかもしれません。

──刺激になっているんですね。

森 仲がいいけれど、山川さん自身が僕をライバルだと思ってくれている。僕も自分が打てなくて山川さんがヒーローになった試合は悔しい思いはあるし、ライバルでもあると考えています。

──それでは18年、山川選手がMVPに輝いたときは……。

森 悔しかったですよ。ただ、それを口に出すことはなく、「おめでとうございます」という感じで接していましたけど、心の底で「悔しいな」というのはありましたよ。

──以前、「独りで行動するのが嫌」とも語っていましたが、そういう意味でも山川選手がいて良かった。

森 山川さんは、今は結婚してしまったので、常に一緒というわけにはいかないですけど、でも、まあ、僕も西武に入って6年目が終わり24歳にもなった。どんどん後輩も入ってきている。時間があるときに後輩を連れて、食事でも行けたらいいなと思います。

──スタイルは違いますが山川選手のバッティングで参考になるようなところはあるのですか。

森 山川さんの打撃フォームを見て変えようと思ったことはないです。ただ、お互い、1年目から見ていますから。いいときも、悪いときも分かっている。僕も山川さんのバッティングを見て思うことはあります。だから、移動中などに「ああしたほうがいいんちゃう」「こうしたほうがいいんちゃう」と話し合って、その意見を取り入れることはよくあります。

──リードに関して山川選手と話すことは?

森 それはないですね。山川さんはキャッチャー、監督でもないし、イチ野手なので「俺は配球に関して突っ込める立場じゃない」と言っています。

──20年からは選手会長に就任します。

森 まだ何をやるべきか、分からないですね。でも、給料もいっぱい上がりましたし、今までどおりにやっていてもダメなのかなという気持ちはあります。年が明けて自主トレくらいから、チームのために何ができるか考えながらやっていきたいと思います。

──年俸は2億円(推定)に達しました。

森 びびりましたね。びっくりしました。想像以上でしたね。でも、欲はありますよ。野球人なので、満足する金額はもちろんないと思います。変な話、プロ野球選手は何年できるか分からないし、もらえるだけもらっておきたいという気持ちはあります。

──いずれは球界最高年俸にも……。

森 頑張りたいですね。

──とにかく、いろいろな責任が増してきます。

森 当然、責任感もありますし、より一層、チームを引っ張っていかないといけない。山川さんともそういう話はしていますし、やらないといけないことはたくさんあるんじゃないかと思います。

──20年は東京五輪も控えています。

森 もちろん東京なので出たいなという気持ちはありますけど、それよりもやらないといけないことはたくさんありますので、五輪に重点を置いて何かすることは特にない。一番、大事なのはシーズンです。

──最後に20年の目標を。

森 個人的には今年(19年)以上にマスクをかぶる機会を増やしたい。バッティングも今年(19年)以上の結果を残せないといけません。チームとしても秋山(秋山翔吾)さんの去就が分からないですけど、毎年主力が抜けていくなかで、それでも応援してくれるファンはたくさんいるので、ファンの期待を裏切らないように、しっかり結果で示したいと思います。

首位打者を争った吉田正尚(オリックス)からのQUESTION



Q「メットライフドームは蒸し暑いけど、夏場の調整はどうしていたの?」

A「8月の成績は良かったですが(打率.377、10本塁打、30打点)、体も、精神的にもきつかったのは事実。ただ、岡田(岡田雅利)さんがケガで抜けて、『やらなければいけない』という意識がより一層強まった1カ月だったと思います。

 体は休めることを考えていました。シーズン終盤でバットを振り込むことも大事ですけど、調子も悪くなかったので、そこまでやり込む必要もないと考えて。ちょっと落ちてきたら、少し振り込めばいいのかなと思っていました。とにかく暑いですし、体力面が一番不安だったので、休めるところはしっかり休もう、ということです。でも、2018年以上に先発マスクをかぶりましたが、きつさは想定内でした。よっぽどしんどくなると思ってシーズンに入りましたからね」


PROFILE
もり・ともや●1995年8月8日生まれ。大阪府出身。170cm80kg。右投左打。大阪桐蔭高から2014年ドラフト1位で西武入団。18年に捕手としての出場機会を増やし、リーグ優勝に貢献。19年は126試合でスタメンマスをかぶり、初の首位打者、MVPも獲得して連覇の原動力になった。20年からは選手会長に就任。主なタイトルはベストナイン(18、19年)。

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