2019年は内野全ポジション&外野もこなしながらキャリアハイに迫る成績でチームをけん引したロッテのチームリーダーが、東北・仙台に新天地を求めた。その決断の裏側と、懸ける思いとは――。 取材・構成=杉浦多夢 写真=矢野寿明、BBM 新しい挑戦
FA宣言をするまでも、宣言してからも、苦悩の表情を浮かべ続けていた。周囲からの「残ってくれ」という言葉が耳に届くたびに、悩みは深まっていく。だが、「新しいことに挑戦する最後のチャンス」を逃すわけにはいかなかった。選手として、人間としてさらに成長するために、愛着あるチームを飛び出し、楽天での新たなチャレンジを決断した。 ──11月27日にファンの前で入団会見を行いました。
鈴木 楽天にお世話になることを決断するまでの時間を含めていろいろなことがあったので、失礼ながら楽天のスタッフや仙台のファンの方たちのことを考える余裕がないまま入団会見の日を迎えてしまいました。どう迎えてもらえるのだろうか、という不安があったのですが、球団の職員やスタッフ、ファンの方たちの顔を見て、「受け入れてもらえている」という感じが伝わってきたので、すごくすっきりしましたね。あの入団会見で、あらためて「楽天にお世話になるんだな」「このチームのために頑張るしかない」と気持ちが切り替わりました。
──楽天のユニフォームも似合っているように感じました。
鈴木 自分でも「思ったよりは……」と思ってしまいましたけど(笑)。それでもまだまだ違和感があると思うので徐々に慣れていければいいかなと思います。
──背番号は「7」に決まりました。
鈴木 感謝の気持ちしかないですね。マリーンズで6年間、「7」を着けさせてもらって愛着があるのは間違いないですが、(昨季「7」を着けていた)辰己(
辰己涼介)選手の配慮がなければ実現することはありませんでしたから。楽天にお世話になると決めたときに背番号のことも頭をよぎりましたけど、「7」は僕の選択肢の中にはありませんでした。球団から実際に提示していただいたときには、辰己選手は1年しか着けていないわけですから、申し訳ない気持ちもありました。辰己選手本人だけでなく、応援するファンや家族の思いも絶対にあるはずなので。だからこそ、もらったからには頑張らないといけないですし、簡単ではないですが「鈴木にあげてよかった」と思ってもらえるように、プレーや立ち居振舞いで見せていかなければいけません。
──楽天へ移籍を決断した一番の理由は何だったのでしょうか。
鈴木 昨季のある程度のパフォーマンスを評価していただいたのはもちろんなのですが・・・
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