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[球団経営の舞台裏]マネー核心リポート

本当に儲かっているのはどの球団?決算から読み解く球団経営の実態

 

巨額のマネーが動くプロ野球の世界においてその中心にあるのが球団の存在だ。ここではグラウンドから少し離れて、球団経営にまつわるトピックスを検証してみたい。
取材・文=滝川和臣、写真=BBM


そもそも球団の収支とは?


 プロ野球チームを運営する球団も一企業であって、当然ながら営利を目的とした経営が行われている。各球団からは決算公告がなされており、その業績を比較し“儲かっている球団”と“そうでない球団”を知ることで、球団経営の実態が見えてくるのでは? というのが今企画の出発点だ。

 最初に球団の収入と支出をまとめると、収入源は「チケット収入」「テレビなどの放映権」「広告などスポンサーシップ」「グッズ販売」が柱となる。支出の主なものは「選手年俸」「人件費」「移動費用」が挙げられる。ほかに球団が球場を保有しているかどうかも、業績を左右する大切な要素となる。ヤフオクドームを保有するソフトバンクや、指定管理者制度をもとにZOZOマリンスタジアムの営業権を握るロッテなどは球場内の広告、飲食などを自由にコントロールできる。一方でヤクルトが本拠地をかまえる神宮球場や、日本ハムが使用する札幌ドームでは球団の経営に制限があるのが現状だ。

「つまり、持ち家か、賃貸かの違いです」と話すのはスポーツ経営学者で江戸川大学教授の小林至氏だ。小林氏は、元ロッテの左腕で、引退後はアメリカ留学を経て福岡ソフトバンクホークスで2014年まで取締役を務めた。「持ち家はさまざまな維持費がかかりますが、賃貸の場合はそれがかからない。とはいえ、球団にとってチームと球場はセットであって、球場の広告スペースが売れるのもチームがあってこそです。そういう意味では球場における営業権は大切であり、一体経営がトレンドになっています。飲食、グッズも球団がコントロールしたブランディングでないと、やっぱり売り上げは伸びませんよ」。

 小林氏によれば、“賃貸”が主流だった日本のプロ野球に一体経営の重要性が広く理解されるようになったのは・・・

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