伝統と誇りを背負って──。多くの意味が込められるのが背番号だ。今季から球界のエースナンバーと呼ばれる「18」を背負うオリックス・山本由伸も、自身の担当スカウトとしてプロの世界に導いてくれた山口和男も着けた番号とあって背番号への思いは強い。受け継がれるエースのプライド。今号の背番号特集は、そんな「18」継承対談から始めよう。 取材・構成=鶴田成秀 写真=佐藤真一 目標のエースナンバー
2002年、当時日本人最速となる158キロをマークした山口和男は09年の引退後、スカウトに転身。そして担当スカウトとして16年秋のドラフトで4位指名したのが山本由伸だ。その素質にほれ込んでいた山口は、山本のプロ1年目からエースナンバー「18」を着けることを2人の共通目標として掲げていたという。 ──お二人の共通点である背番号18の話をする前に、お二人はスカウトと選手という関係でもあります。
山口 初めて由伸(山本由伸)を見たのは、高校(都城高)3年になる直前の2月でした。学校で練習を見させてもらったんです。まだ寒かったですが、ブルペンで投げていた。それが最初だったよね?
山本 そうですね。プロのスカウトが見に来てる! と思ったので、僕もよく覚えています。あのときは、監督にボールを受けてもらっていたんですよね。
山口 実際に話をしたのは、ドラフト前の面談のときが最初だったかな。由伸がプロ志望届を出した後に学校(都城高)に調査書を持っていったときに面談をさせていただいたんです。何を話したか、具体的に覚えていませんが(笑)。
山本 僕も内容までは覚えてないです。
山口 でもね、一つ覚えているのが、ずっとモジモジしていたことなんだよ。
山本 えっ? そうでしたか(笑)。僕は和男(山口和男)さんを最初に見たときは「デカッ」と思いました。プロの世界でやられていた方。やっぱり体が大きいなって。
山口 まあ、由伸に勝っているのは体の大きさだけだから(笑)。でも、口を開けば18歳とは思えないほど、しっかりしているなと感心した。将来のビジョンもしっかり持っていて、人間性が素晴らしいと感じたものだよ。
山本 そんな話をしたんですか? 全然、覚えていないです。あのとき、何を考えていたんでしょう(笑)。
山口 あのときは、まだプロの世界を経験していない中でのビジョンだから。今は、一軍で投げてプロを体感している。あのときと、今では違うから、思い出す必要もないと思うよ。
──その後、ドラフト4位で指名し、交渉権を獲得しました。仮契約のときに、背番号を提示されたと思います。
山口 はい。「43です」と伝えましたね。
山本 僕もそのときのことは、よく覚えています。ドラフトで指名されて、プロになることが決まり、背番号は何番になるのかなと考えていて。43と伝えられ、背番号が決まったことでワクワクしました。この番号でプロ野球選手としてスタートするんだ、と。
──入団前、山本投手は着けたい番号があったのでしょうか。
山本 選べる立場ではないのは分かっていたので希望はありませんでした。ただ、仮契約のときだったかは覚えていませんが、1年目のときから和男さんと・・・
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