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2020 OPENING PITCHER INTERVIEW

巨人・菅野智之インタビュー 自分を超えていく 「これまで以上を狙うならば、変わる必要があるし、変わらなきゃいけない」

 

※今号(2020年3月23日号)は、「3.20」開催を前提に記事を構成しており、本誌の締め切り日(3月9日)に発表されたNPBの開幕延期と取材時期との関係上、一部、事実と齟齬が生じております。ご了承ください。


重要な局面に立たされている。2017、18年と2年連続で沢村賞を獲得した右腕が、昨季は「振り返りたくもない1年」を過ごした。腰痛があったとはいえ、11勝にとどまり、長期の戦線離脱も経験。ただし、これを好機ととらえられる強さがある。過去の自分を超えることを誓った、ジャイアンツのエースの、胸の内に迫る。
取材・構成=坂本匠 写真=桜井ひとし、小山真司

久しぶりに打者と対峙


 年末年始合併号(1月6・13日合併号)に掲載したソフトバンク・千賀滉大との対談で、7シーズンのプロキャリアで最も苦しんだ2019年シーズンを「この経験を生かすも殺すも自分次第」と話した菅野智之の行動は、驚くほど思い切ったものだった。恒例のハワイ自主トレから例年とは異なるメニューを取り入れ、帰国後に鴻江スポーツアカデミー(鴻江寿治氏が主宰)のトレーニングキャンプを経て、フォーム改造にも着手。日々の入念なチェックとメンテナンスにも力を入れ、その成果は徐々に表れ始めている。

――8年目の開幕を控え、順調に実戦登板を重ねているように見えます。手応えをどう感じていますか。

菅野 正直に言うと、順風満帆に来ていたわけではないんです。毎年それは思いますけど、例えば昨年を例に挙げると、めちゃくちゃ状態が良く二次キャンプの沖縄に入れたと思ったら、足の裏を痛めてしまった。慎重にやっていてもそうなることもありますし、今年の自主トレからキャンプにかけても何もなかったわけではありません。小さな問題がいくつか出てきて。でも、それって、体が毎年変化している証拠でもありますし、早めに対策を練って、対処をして、開幕に向かえているかなと思います。特に今年に関してはフォームを変えたこともあって、毎朝、自分の体の状態をチェックするところからスタートしています。例えば、「(新フォームで)ココが張りやすくなっているから、可動域を広くするメニューを取り入れよう」、「今日は硬いからエクササイズを多めにやろう」とか、「今日は動きがいい。一昨日と何が違うか、昨日のメニューと比べてみよう」、「特別なことはしてないけど、ココが硬くなっているから、投げている映像で確認してみよう」みたいな感じです。投げている映像を確認して、例えば「左足を着くのが強いからだ」と分かれば「次に投げるときには、もうちょっと右足(軸足)に乗せてから左足を優しく着くように意識しよう」と。開幕してもこの繰り返しの毎日になると思いますが、そのおかげで良い段階を踏んで、今を迎えられています。

――これまでもチェック項目は多々あったと思いますが、より細部にわたって確認している、ということですか。

菅野 人によってどう感じられるか分かりませんが、若いときはそんなことを考えなくても投げられたんです(笑)。150球投げようが、200球投げようが、寝たら回復する。変な話、キャンプ中だって毎日ブルペンで投げようと思えば投げられてしまう。でもそういうわけにはいかなくなってきていて、加えて今年は新しいことにも挑戦しているので。より、自分の体を知らなければいけないわけです。もちろん、1人では何もできないので、トレーニングコーチやトレーナーさんと相談しながら、事細かにやってもらっています。昨年からリハビリを担当してもらっている方にも一軍に帯同してもらって、僕のためにすごく、手を煩わせてしまっているな、とは感じていますけど。ありがたいことに、そのおかげで、今、マウンドで久しぶりに体のことを気にせずに、バッターと対峙(たいじ)できています。多分、この感覚は1年ぶりくらいかな?

――昨シーズン中は自分との戦いだった。

菅野 痛くならないように気を付けて投げよう、とかね。そちらの比重が高くなってしまって、本当の意味で勝負になっていませんでした。それではいい結果なんか生まれるはずがない。そういった面では・・・

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