※今号(2020年3月23日号)は、「3.20」開催を前提に記事を構成しており、本誌の締め切り日(3月9日)に発表されたNPBの開幕延期と取材時期との関係上、一部、事実と齟齬が生じております。ご了承ください。 取材・構成=杉浦多夢 写真=佐藤真一、高塩隆、BBM 決意のFA移籍1年目、新天地でいきなり開幕投手という大役を託された。開幕戦の相手であるソフトバンクとの相性の良さもあるが、井口資仁監督が買ったのは豊富な経験。「若い投手もたくさんいるが、彼らにはまだ、その(開幕投手の)プレッシャーを乗り越える力はないなと。美馬でスタートを切って、若手につないでほしい」。FA移籍1年目での開幕投手は史上3人目、勝利投手となれば史上初となる。それでもベテランの域に差し掛かった右腕は、自然体でプロ10年目を迎えようとしている。 ――FA移籍1年目で開幕投手を務めることになりました。
美馬 春季キャンプでチームが石垣島から離れる前に、石川(
石川歩)と2人で井口(井口資仁)監督から呼ばれたんです。「何かあるのかな」と思っていたら石川が「美馬さん、開幕ですね」と。本当にびっくりしたというのが一番です。
――
楽天時代と合わせて2度目の開幕投手になります。
美馬 新しいチームに入っての自分の開幕でもあります。チームとしても自分としてもいいスタートが切れるように、勢いづける投球ができるように。しっかりいい状態でマウンドに上がって、いい結果が出せるようにしたいです。
――
ロッテのユニフォームにも慣れてきたのではないでしょうか。
美馬 どうですかね、自分では分からないですけど(笑)。でも最初からそんなに違和感はありませんでした。
――春季キャンプの早い段階からチームに溶け込んでいるように見えました。
美馬 楽天からほかに3人(
ハーマン、
小野郁、
西巻賢二)も一緒に移籍してきたというのは心強かったですね。1人だとどうしても不安はありますし、ほかの選手たちと話をするきっかけにもなります。いいタイミングでしたね。
――中大で3学年後輩だった
井上晴哉選手もいます。
美馬 チームになじむのに晴哉の存在は大きかったです。キャンプでは隣の部屋だったので、よく食事にも行きましたし。大学時代は3学年違うとあまり絡むことはなかったのですが、入ってきたときからバッティングはよかったですし、彼のおかげで(東都)一部に上がれたようなもの。ロッテでも中心選手なので、しっかりやっているんだなと思っています。
――これからはますます頼もしい後輩になりますね。
美馬 僕からけっこう打ってくれていたんでね(実際は通算で34打数9安打、被打率.265、3本塁打、6打点)。でもプロの舞台で真剣勝負ができたことは楽しかったです。打たれるのは悔しかったですけど(笑)。
――あらためてFA宣言をされた理由を聞かせてください。
美馬 家族のことが一番大きかったですね。オフに子どもが生まれて、妻が両親のサポートを受けられる環境になれば心強いだろうと。僕も出身は茨城ですし、関東に住むべき理由が増えた。家族が落ち着いて生活できるということが、僕が安心して野球に打ち込めるということにつながりますから。
――その中でロッテを選んだのは。
美馬 松本(
松本尚樹)本部長には「優勝するためにチームに必要な選手だから、ぜひ来てほしい」とずっと言われ続けていましたし、その言葉は響きました。お世話になることを決めてからですが、井口監督から・・・
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