週刊ベースボールONLINE

2020に翔ける!スペシャルインタビュー

ロッテ・鳥谷敬インタビュー もう一度、勝負の舞台に── 「しっかり勝負させてもらい、最後に納得してからやめたい」

 

2020年の「101人」の中で最も熱い視線を浴びる男だろう。阪神での16年間で球団歴代最多の2085安打を放ち、NPB歴代2位となる1939試合連続出場も果たした誰もが認める“タイガースの顔”が、新天地を求めた。充実感をにじませる38歳は、自らの終着点をどう見据えているのか。
取材・構成=杉浦多夢 写真=高塩隆


プロ野球選手として当たり前の準備をする


「阪神タイガースの鳥谷敬」の看板を背負ったままユニフォームを脱ぐという選択肢もあった。だが、もう一度、フラットな状態で勝負の舞台に立ちたかった。阪神を退団してから約5カ月が経過した3月10日。「行き先がなければ引退」という覚悟を胸に秘めながら求め続けた新天地が、ついに決まった。ピンストライプのユニフォームをまとって「00」を背にした鳥谷敬は、さっそくロッテ浦和で汗を流し、実戦感覚を取り戻すべく二軍の練習試合に出場している。その表情は驚くほどに柔らかく、笑顔が絶えない。「納得した形で野球人生を終えることができるように」。そのスタートラインに立つことができた喜びと、充実感にあふれている。

──二軍のロッテ浦和での調整と実戦が続いていますが、環境面で阪神時代との違いを感じる部分はありますか。

鳥谷 環境が違うのはもちろんですが、二軍というのは1年目に試合に出て以来なので、新鮮な気持ちでやれています。

──生活面も大きく変わります。

鳥谷 もともとずっと関東にいましたし、まったくなじみがないという場所でもない。生活面の環境としてはそんなに違和感はないですね。ただ、家族と会える時間というのは少なくなりますし、そもそも家族の協力がなければ1人でこちらに来てやるということもできない。それを許してもらっているという意味でも、しっかりやらないといけない、というのは感じています。

──久びさの実戦をこなす中で感覚は戻ってきていますか。

鳥谷 結果が出る出ないは別として、グラウンドに立って試合をして、その中で体の状態も悪くない。ケガをしたり、体が動かなくなってしまったら意味がないですし、また野球ができるこの瞬間というのを考えながらオフも練習してきたので、ある程度、自分のイメージしたとおりにできているのかなと思います。

──試合ごとに二塁、遊撃、三塁を守っていますが、ポジションが変わる難しさはありませんか。

鳥谷 それぞれのポジションにそれぞれの特性もありますし、動きの違いもあります。ショートに関してはこれまで数をこなしていますけど、残りの2ポジションというのは自分自身の経験としても、学生のころから考えても数は少ない。毎日修正したり、考えながら動かなければいけないので、そこらへんの難しさはあります。特にセカンドは体の動きが逆になりますし、ファーストへ投げる距離が短くなるので、どうしても待ってしまう。もっと前に出る意識を持っていかないといけないですね。

本職の遊撃だけではなく、三塁や二塁にも対応することでチャンスは広がっていく


──井口資仁監督は内野の全ポジションをこなしてほしいと言っていました。

鳥谷 プロ野球選手としてやっていく上で、レギュラーじゃない限りはほかのポジションも練習して、レギュラーがケガをしたり、調子が悪かったりしたときにパッと入れる準備をするというのは、本当に当たり前のことなので。その準備をしっかりするというだけです。

── 一方でショートというポジションへのこだわりもあると思います。

鳥谷 もちろんショートがこれまで一番多く守っているポジションなので、守りやすい、動きやすいということはあります。そもそもこだわりというより、どのポジションでもやるつもりで現役を続けるという選択をしている。このポジションでなければ嫌だとか、そういう考えは最初からないですね。

──最初からというのは阪神でプロ入りしたときから、でしょうか。

鳥谷 もちろん阪神で何年も守っていたときに、「自分でポジションを選択していいよ」となれば、当然ショートを選びます。今はもう、そのときとは状況が違いますし、自分が入れるポジション、入れるスペースを探しながらやっていくというのが現状なので、チームの状況に合わせてどこでも守れるように準備するのが今の自分にできることだと思います。

「勝負している」確かな充実感


──阪神を退団することを決意した一番大きな理由は何だったのでしょうか。

鳥谷 退団を決意したというか・・・

この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。

まずは体験!登録後7日間無料

登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。

特集記事

特集記事

著名選手から知る人ぞ知る選手まで多様なラインナップでお届けするインビューや対談、掘り下げ記事。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング