異論もあるかもしれないが、阪神の球団史において、「ミスタータイガース」と呼ばれた男は4人だけしかない。栄光に満ちあふれた彼らの共通点はもう一つある。タテジマのユニフォームを脱ぐときの挫折感だ。 藤村富美男 希代のショーマン
創設時のメンバーで投手として入団したが、内野手としても出場し、1936年秋のリーグでは6勝1敗、打ってはホームラン2本で本塁打王となっている(ほか2人がタイ)。39年応召し、43年7月に復帰。44年には25打点で打点王となった。
戦後はダイナマイト打線の中軸として打ちまくったが、同時にパフォーマンスもさえ渡る。投手で登板時、マウンドから二塁走者を股越しにのぞいたり、空振りで大げさに尻もちをつく。すべてがオーバーアクションだった。
巨人・
長嶋茂雄を思い出す人もいるだろうが、それはそうだ。プロ入り前の長嶋があこがれていたのが、藤村だった。常に観客の反応を気にしながらのパフォーマンスは、“ブギの女王”と呼ばれた、当時の流行歌手・笠置シヅ子のステージを見に行って思いついたという。
アベレージヒッタータイプだった打撃がガラリと変わったのは・・・
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