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短期集中連載 2020の球界を考える

2020の球界を考える 江本孟紀(野球評論家) 「今こそプロ野球は本来の姿を取り戻せ」

 

およそ3カ月遅れとなったが、ようやくプロ野球の開幕が決定した。誰も経験したことがない2020年シーズンは果たしてどうなるのか。球界の“ご意見番”として知られる江本氏に話を伺った。
取材・構成=牧野正 写真=BBM

2020年のプロ野球は6月19日から始まる。当面は無観客試合に


特別なシーズンでもプロなら対応するべき


 6月19日の開幕が決まりましたけど、まあこれが妥当な日程だと思いますよ。早いとか遅いとか、まだやるべきじゃないとか、いろいろな意見があるとは思いますが、答えなんかないわけで、世の中の流れを見て判断するしかない。それでNPB(日本野球機構)が6月19日と決めたのなら、それが妥当ということなんですよ。

 ただ、個人的には今シーズンの公式戦開催は難しいかな、ひょっとしたらやれないかもしれないな、と思っていたのでね。だってオリンピックが延期になっているのに、その時期にプロ野球がやっていたら、やっぱりいろいろと言われるでしょうから。本当はそんなことを言われる筋合いはないし、言わせておけばいいんですけどね。国に拘束力はないし、やる、やらないはこっち(NPB)が決めること。でも、こんな状況の中で、そこまで思い切ってできない事情も分かりますから。

 当面は無観客試合でのスタートのようですが、これも仕方がないこと。選手がやりづらい? 練習試合やオープン戦でもやっているし、そこまで選手に同情しなくていいですよ。何の心配もない。彼らはプロです。だいたい昔のパ・リーグなんて無観客試合のようなものですから。シーズン終盤の消化試合なんて、本当に涙が出るくらいガラガラ。大阪球場が満員になるのは年2回。春先の巨人とのオープン戦2連戦と西城秀樹の夏のコンサートだけ(笑)。ただ、今の選手は常にたくさんのお客さんの中で戦っていますから、そのギャップは感じるかもしれない。でもそれでもすぐに慣れますよ。

 120試合制になったことでタイトル争いは、ちょっと考えたほうがいいところもありますね。首位打者と防御率です。過去最少の打席数と投球回数を調べて、それをクリアしたら記録上に残してもいいと思いますが、そうでなければ参考記録扱いにするとか。今年は特別なシーズンですから、これも仕方ないことです。

 6連戦が延々と続く過密日程になりますが、そうなると一番しんどいのは投手でしょう。先発ローテーションをどう組んで、どう回していくのか。先発であれば長く投げさせるのか、あるいは逆に早めに交代させて中4日で回すのか、調子が悪ければ中継ぎに回すのか、そういう見極め、やりくりが難しくなってくるでしょう。

 また、いつものシーズンなら成長を期待する投手を起用してみたり、我慢して長く投げさせたり、いわゆる“育てる”こともできたでしょうけど、今年ばかりはそんな悠長なことは言ってられない。それは野手も同じことですから、例年以上に監督の手腕が・・・

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