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「四番打者」を語る

楽天・浅村栄斗インタビュー 重圧を楽しむ 「一喜一憂せずに、良いときも悪いときも同じテンションでやっていきたい」

 

今季から四番の重責を担っている。開幕からここまで、12球団の主砲を見渡しても、屈指の活躍を見せていると言える。西武から楽天に移籍して2年目、心身ともに充実したスラッガーが追い求めるのは、チームを勝利に導く一打のみだ。
※成績・記録は6月30日現在。取材・構成=阿部ちはる、写真=井沢雄一郎


気持ちの切り替えが難しい6連戦


 楽天の四番にはここまで、全試合で背番号3がどっしりと座っている。6月30日の時点で打率.400、4本塁打、15打点、得点圏打率は6割を誇るなど、堂々の成績を残す主砲だ。昨年はチームで唯一全試合に出場し、自己最多の33本塁打を放つなど移籍1年目ながらチームの中心に居続けたが、プレッシャーの中で苦しむ時期もあったという。加入2年目の今季は結果だけでなく、チームのことを思い若手の成長も促すなど、名実ともにチームを背負う存在となっている。今季の状況を尋ねると「難しい」と何度も口にするが、このイレギュラーな状況をはねのけてしまうほどの自信も垣間見えた。

──2020年のシーズンが開幕しました。自粛期間はどのような気持ちで過ごされていたのでしょうか。

浅村 球場も使えなかったですし、違うグラウンドでできるわけでもない。楽天の選手たちと練習ができない状況が続く中で、家でやる日々が続いていたので、気持ち的にも難しかったし、大変でしたね。ですがシーズンが始まることを信じながら粘り強くコツコツと、できることをやっていました。

──3カ月遅れでの開幕、そして無観客での試合となっています。(※7月10日からは有観客)

浅村 やはり調整も難しかったですし、無観客で野球をやるというのはプロに入って初めてのことなので、やりづらさもあります。ですが、今はどのチームも条件が一緒なので、そういう割り切った意識でやっていますね。

──観客がいない難しさはどういったところに感じますか。

浅村 毎年たくさんの応援や声援の中でプレーができるので、自分の持っている以上のものが出せたりとか、チャンスのときにすごくたくさんの声援をもらって勇気づけられたり力をもらったりしていたのですが、それが今、球場ではまったくない。心細さもあるし、やりづらさもあるなと感じています。

──昨季は環境を変えて臨んだ1年でした。オフには「もっとやれたというのが素直な思い」と話されていましたが、移籍1年目の難しさをどういったところに感じていましたか。

浅村 期待されて今までもやってきましたが、チームが変わって、また違った期待をされることもあったのかなと。18年にある程度、納得のいく数字を残せたことで、ファンの皆さんももっとできるとか、ここは絶対に打ってくれるとか、そういう評価や期待につながっていたと思います。それが逆に今まで感じたことのないプレッシャーになったり、打てなかったら「なんでやろう」って自分の中でも落ち込むし。自分が持っているもの以上にファンの皆さんが期待しているというところが、すごく難しい部分でしたね。

──それでもチームトップタイの33本塁打、同トップの93四球。特に後半戦の活躍は素晴らしいものがありました。

浅村 シーズン後半のほうは、とにかくチームが勝てればいいと思ってやっていたので、逆にそれがあまり周りの声とかを考えずに自分のプレーに集中できた要因かなと。やはり・・・

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