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【特集コラム】時間を支配した「八時半の男」

 


 巨人のコーチ時代、何度か取材させていただいたが、穏やかな低音ボイスと、黒い色眼鏡の奥の優しい目が印象的な方だった。読者プレゼント用のサインを頼むと、名前の横にはいつも「八時半の男」と書き、「僕の名前より、こっちのほうが有名になってますからね」と笑った。

 1960年代、ナイトゲームは19時スタートがほとんどだった。当時の試合はペースが速いから、“八時半”となれば7回くらいだろうか。つけたのは報知新聞の記者・中山伯男さんだ。後楽園球場の名物ウグイス嬢だった務台鶴さんが、「私、いつも宮田さんの名前を8時半に呼んでいる気がするわ」と言った話をヒントにしたという。当時『月曜日の男』というドラマが流行っていた。

 元巨人・宮田征典。抑え専門投手のパイオニアと言われる男だ。ただし、これは自ら望んだわけではなく、神経性心臓強迫症という病気を持っていたことがある。緊張が高まると心臓の発作が起こり、鼓動がときに速く、また遅くなったりしたという。医師からも長いイニングの登板を止められ、川上哲治監督にとっては、やむを得ずの選択だった。もちろん、最初は、だが・・・

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