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ドラフト1位物語 選ばれし者の光と影

藤原恭大 CLOSE-UP INTERVIEW あの輝きを超えるため「あのころが一番輝いていた。それを超えていかないと」

 

プロ野球人生で最も輝いたのは、ドラフトの日とは言わせない──。3球団競合の末にプロの世界に飛び込んだ攻守走三拍子そろう逸材は、高卒1年目から大きな注目を浴びる中でカベにも直面した。それでも今季、優勝&CS争いを繰り広げる最終盤に一軍昇格を果たすと、積極性が光る打撃でレギュラー奪取へ大きく前進。その根底には強い思いがある。
取材・構成=鶴田成秀 写真=桜井ひとし


突きつけられた現実


 期待の大きさは起用にも表れた。昨季は球団高卒新人54年ぶりとなる開幕スタメン。華々しくプロ野球人生のスタートを切った。だが、レベルの差を痛感する。カベに直面したことで、さらに自らの打撃と向き合うようになっていった。



──ドラフトから早2年。今、“ドライチ”に対する思いに変化はありますか。

藤原 う〜ん、難しいですね。でも、そもそも自分は“ドラフト1位”ということを目指してやってきたので。だから、目標が現実になって、描いていたとおりというか、しっかり練習を積んで、レベルアップしてきた結果、1位という評価をいただけたことは、当時も今も素直にうれしいという思いはあります。

──“1位指名”を目標に掲げた理由は何だったのでしょう。

藤原 やっぱり、プロの球団から「この選手を欲しい」と選んでもらうからには、1番を目指したかった。(同じ大阪桐蔭高卒で)プロに行かれた先輩方たちも多い。その先輩方にも負けたくない、という思いもずっと持って練習してきたんです。だから、プロに行くことだけでなく“1位で”という思いが強かったんです。

──実際に1位指名。それも3球団が競合したわけですが、重圧を感じたことは。

藤原 いや、あまりないんですよね。ただ、周りの目というか、注目の大きさは感じてきましたし、だからこそ活躍しないといけないと今でも思っています。周りから“ドラフト1位”という目ではなく、1人のプロ野球選手として、しっかり見てもらえるように、少しでも早く活躍したい。その思いは強いんです。

──今年はドライチで佐々木朗希投手が入団し話題を集めました。客観的にドライチを見て感じることもありましたか。

藤原 去年はテレビで見ていたんですけど、やっぱり1位だけは(地上波の)テレビでも放送されるし、注目される。1巡目で選ばれるのは、特別なモノがあるんだな、と。それは、あらためて感じた部分でもありましたね。

──藤原選手も話題を集め、1年目は開幕スタメンを手にして、プロ野球人生をスタートさせました。

藤原 スタメンで出れたという喜びよりも、とにかく「打てない」と思わされました……。それが一番。だから、一軍を経験して課題を得たとか、そういう次元ではなかった。もう、それ以前の話。自分自身がプロの一軍レベルに達していないと痛感させられました。

──レベルの差を感じたのは直球のスピード、それとも変化球のキレでしょうか。

藤原 もう全部です。根本的に力の差があり過ぎて。言うなら、中学生と高校生が試合をしているような感じのレベルの差。技術うんぬんではなく、完全に力の差を感じたんです。「これ、どうやって打つの?」と思っていましたから(苦笑)。

──ドラフト直後からプロの体になるために体重を増やしたいと言っていたのも、その差を埋めるためだったと思います。

藤原 そうなんです。分かってはいたんです。でも、まざまざと痛感して。あれから、あまり体重は増えていなくて(2キロ増)。今でもプロの体になりたいと思っています。でも、ファームで打席に立つにつれ、自信もつかんでいきました。だから、今年は“いける”という感覚があったんです。開幕は二軍でしたが、打撃の感覚がすごく良くて。ボールの見え方が大きく違っていた。うまく言えないんですけど、ボールが来たときに対応できると思えて。去年は、戸惑っていただけだったんですが、去年の最後のほうから打席に立つ中で、そう感じていたんです。

──打撃フォームを見れば高校時代からトップの位置が低くなっています。これも、取り組んできたことでしょうか。

藤原 確かに、そこは大きく変えたところではあります。でも・・・

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