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当時を知る担当記者が明かすドライチ秘話

斎藤佑樹(2011年日本ハムドラフト1位) 孤独な戦いの果てに―― 暗転したハンカチ王子の野球人生

 

2006年夏の甲子園で早実のエースとして全国制覇。甘いマスクの爽やかな「ハンカチ王子」は日本中にムーブメントを巻き起こした。早大で数々の記録を打ち立て、2010年秋のドラフトで4球団競合の末に日本ハムへ。入団当初は空前の佑ちゃんフィーバーを巻き起こしたが、そこから先は苦しくも孤独な戦いが斎藤佑樹を待ち受けていた。
文=井上陽介(スポーツライター) 写真=BBM

プロ初登板となった2011年4月17日のロッテ戦[札幌ドーム]で5回4失点(自責点1)で初勝利をマーク


時代の寵児となったハンカチ王子


 2014年8月、夏の日差しに呼応する蝉しぐれの千葉・鎌ケ谷。日本ハムの二軍本拠地に斎藤佑樹がいた。ある話の流れで聞いた言葉が忘れられない。

「消せない、ですね」

 当時、プロ4年目。12年の日本シリーズで負った右肩関節唇損傷を乗り越え、785日ぶりの勝利を挙げた後だった。リハビリ過程の中で、自らのスマートフォンで自身のキャッチボールや投球を都度、撮影していた。まともに投げられなかった13年の春季キャンプから地道に撮りためた動画。「つなげたら、どれだけの長さになるんですかね……」。見返さなくとも、すべてを保存していた。「野球ができなくなるなと思った」という故障から這い上がった日々も野球人生の一部。消去なんてできなかった。

 そんな影も、まばゆい光があるからこそ際立つのだと思う。遡ること8年。2006年夏の甲子園の主役は間違いなくこの男だった。早実のエースとして・・・

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