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識者の視点・PART1 武田一浩「菅野で負ければ巨人4連敗も必然。すべての面でソフトバンクが巨人を圧倒した」

 

投打で巨人を圧倒したソフトバンク。チーム内の激しい競争が強さの源になっている


少しの隙もなかった工藤監督の采配


 第1戦がすべてだったかな。巨人はエースの菅野智之で勝って勢いをつけることがシリーズに勝つ唯一の方法だったけれど、その菅野で負け、逆の方向へ勢いがついてしまった感じ。おそらく誰もが思っていたんじゃないかな。菅野で負ければ4連敗もあるということは……それが現実になったというだけの話でね。ソフトバンクは第1戦を落としても別にどうってことはなかっただろうけど、巨人はそうじゃない。菅野が投げる第1戦を落としたら終わり。結果論で言うのではなく、それだけ両チームに力の差があるのは分かっていたことだから。

 菅野は一回り目はボールをインサイドに集めていた。五番の栗原陵矢一人にやられた印象が強いかもしれないけれど、栗原の得点シーンはその前を打つ四番のグラシアルがいずれもライト前へ運んでいる。栗原、グラシアルに限らず、ソフトバンク打線は菅野に対し、まったく怯(ひる)むことなく思い切ってバットを振っていった。向かっていったよね。菅野のストレートはイメージ的には則本昂大(楽天)クラスだったと思っていたんじゃないかな。そこを打ってきた自信もあったはずだと思う。

 ソフトバンクの第1戦の先発は千賀滉大だったけど、初回に坂本勇人から三振を奪ったピッチングはさすがだった。岡本和真丸佳浩もいるけれど、巨人打線の中心はやっぱり坂本。キーマンの第1打席を抑え込むというのは短期決戦の鉄則。千賀はそれを分かっているから、あの場面の奪三振にはしびれた。もう自分はあそこで勝負ありだと確信したくらいだよ(笑)。逆にそれだけの強い気持ちを持って坂本が打席に入っていたかどうか。

 千賀の好投を引き出した甲斐拓也のリードも光った。千賀のフォークは巨人打線に見極められていた。でも・・・

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