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スペシャルインタビュー

中日・大野雄大インタビュー 沢村賞の自覚 「自分が1試合を投げ切ることによって、チームに生まれるものがたくさんあるなと感じた」

 

開幕からしばらくは勝利をつかめなかったものの、初勝利を完投で挙げてからは圧巻の投球内容だった。20試合に登板して10完投6完封の力投。チームを8年ぶりのAクラスに導いた立役者だ。沢村賞を受賞した充実のシーズンを振り返る。
取材・構成=牧野正 写真=BBM

自信に満ちあふれていた大野雄のピッチング。マウンドでは常に冷静だった[写真=毛受亮介]


完投で生まれるもの


 プロ10年目を迎えた2020年は最高のシーズンとなった。2年連続最優秀防御率に最多奪三振のタイトルを獲得し、沢村賞も手に入れた。登板数の半分となる10試合に完投し、うち6試合で完封勝利。ドラゴンズのエースが覚醒した理由は何だったのか。

──圧巻のシーズンでした。率直な感想から聞かせてください。

大野 自分が思っていた何倍もいい成績を残せたと思います。

──沢村賞の喜びは。

大野 まさかでした。一度は獲(と)ってみたいタイトルだと思ってはいましたが、ただ、その規定項目を見てもとんでもない数字ばかりなので、自分には縁のない賞だと思っていました。

──プロ10年目となる20年は、どんな目標を立てていましたか。

大野 前年に最優秀防御率のタイトルを獲れたので、今年(20年)が大事になるなと。タイトルがまぐれでないことを証明したかったですし、そのためにも2年連続で獲りたいという思いが強かったです。それでそのための準備をしっかりしようと。春季キャンプはそんな思いで過ごしていました。

──コロナ禍で開幕が遅れた影響は大きかったですか。

大野 正直、大変でしたね。早い段階で開幕投手を告げられていたので、そこに合わせて調整していたんですが、開幕日が先送りにされ、いつ始まるか分からないというのは……気持ちの持っていき方が難しかったです。

──開幕から6試合続けて白星がありませんでした。焦りはありましたか。

大野 自分自身スタートが良くないというのは分かっていましたし、かみ合っていけば数字はついてくると思っていたので焦りはなかったです。3戦目に菅野(菅野智之)投手と投げ合って負けましたが、内容は良かったので今年も大丈夫だなという気持ちでした。

──6戦目の登板となった阪神戦(7月24日/ナゴヤドーム)は5回103球で降板。試合後に山井大介投手、藤井淳志外野手の両ベテランから声を掛けられ、それが転機になったとか。

大野 そうですね。6回もいけるといえばいけたんですけど、阿波野(阿波野秀幸コーチ)さんから「どうだ?」と聞かれたときに「いきます」ではなく・・・

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