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2020プロ野球記録集計号

空前絶後!「守備率10割」二塁手誕生の理由をデータから検討。菊池涼介の無失策シーズン完走は守備範囲以外の強みの創出の結果

 

2020年に、セ・リーグの二塁手シーズン連続無失策の記録を塗り替え、そのまま無失策でシーズンを完走(守備機会503)、夢の「守備率10割」を達成した広島菊池涼介。これまでは守備範囲の広さを何よりの武器としていた印象もあるが、その守備職人が堅実さを証明する記録を達成できた理由とは?
データ解析・本文=DELTA ページ構成=編集部 写真=BBM


華麗さに加え堅実さも


 菊池涼介(広島)が、873イニングで503の守備機会が訪れた二塁守備で守備率10割を達成した。守備の達人として名高い菊池に新たな勲章が加わった格好だ。ただ、菊池に対して、どちらかといえば華麗でダイナミックな守備が先に思い浮かぶファンの中には、「エラーをしない」という堅実性の発揮に意外な印象を持った人もいるかもしれない。

 統計的な視座からの野球分析手法・セイバーメトリクスでポピュラーな守備指標にUZR(Ultimate Zone Rating)というものがある。これは打球が飛んだ位置や強さを考慮しながら、その打球処理の成功状況を見ていくことで守備範囲の広さをとらえ、さらに併殺完成の確率やいかに失策をしなかったかなども加味することで総合的に守備での貢献を評価するものである。

 菊池について、UZRでのセ・リーグの二塁手における順位の年度別の推移を見たのが菊池について、UZRでのセ・リーグの二塁手における順位の年度別の推移を見たのが【表1】だ。荒木雅博(当時中日)など一世代上の守備の名手たちからの世代交代を果たし、片岡治大(当時巨人)や山田哲人(ヤクルト)としのぎを削ってきた様子が見て取れる。

 しかしながら、一塁手の守備範囲にまで入り込んで打球に追いつきアウトにするといった守備範囲の広さが強烈な印象を与えていた菊池だが・・・

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