週刊ベースボールONLINE

2021球界マネー事情

コロナ禍のマネー事情「7つ」の疑問(解説=小林至教授[桜美林大])

 

新型コロナウイルスの影響は、日本のプロ野球界にも影を落とした。異例のシーズンにおける球団経営の実態、お金にまつわるトピックスを東大からロッテに進み、引退後は福岡ソフトバンクホークスで取締役を務めた小林至氏に解説してもらおう。
取材・構成=滝川和臣 写真=BBM イラスト=一寸木幸平


Q1 コロナ禍の球団経営。球団はどんな苦心を強いられたのか?


A.垣間見えた生き残るための新たなトライ

 プロ野球は来場者を前提としたビジネス。昨年はそれがほとんど消えてしまった。昨年12月17日付の朝日新聞が報じていましたが、楽天は2019年、145億円だった売上が20年は80億円。広島も60億円に近かった入場料収入のほとんどが入らない。球界一の売上を誇るソフトバンクも325億円から、おそらく半減くらい、大幅に売上減となるでしょう。ほかの球団も惨憺(さんたん)たる状況です。どこも大赤字です。

昨年9月のオーナー会議で議長のDeNA南場智子オーナーは「1年で困難がすべて終わるのは楽観的過ぎる」と球界全体の経営状況を危惧


 そんな中でも球団は何かできないかと考え、いわゆる「球場めし」のデリバリーサービスを試したり、デジタルの部分ではバーチャル・スタジアムやオンライン・ミーティングを開催し、ファンとの交流を図った球団もあった。ただし、デジタルの世界は単価が安く、もうかるのはいわゆるGAFAなどプラットフォーマーばかりです。どういうことかと言えば、GAFAの時価総額は500兆円で、人口は1億2000万人の日本のGDPを超えています。が、実際にGoogleやAppleで働いたり、携わる人間は100万人にも満たない。プロ野球は、ヒトがスタジアムに足を運び、そこでヒトが生み出す熱狂を経験するライブエンターテインメントが根幹で、そのために多くのヒトが関わる装置産業です。サイバー空間がこのスタジアムの感動空間に取って代わるのはまだ無理。むろん、顧客サービス、売上向上策の一環としてのデジタルサービスの実証実験はどんどんやるべきで、実際にコロナ禍で各球団はできる範囲で頑張っていたと思います。


Q2 球団は減った売上をどこで補ったのか?


A.・・・

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