伝えていく意味
経験したことがないほどの大きな地震は未来を一気に奪っていった。
10年前、地元である宮城県内の大学に通っていた私は、1週間後に卒業式を控えていた。卒業後は上京し、週刊ベースボール編集部で働くことも決まっており、楽しい日々を当たり前のように想像していた。だが、すべてが一変し、未来は何も見えなくなった。
真っ暗闇の中で聞いていたラジオは被害の状況を伝えていたが、後日映像で見たそれは自分の想像をはるかに超えていた。毎日流れてくる悲しいニュース。目を背けたかったが、家も家族も無事だった自分がその現実から目を背けてはいけないのだと、テレビと向き合っていた。行き場のない悲しみと怒りは自分の心をむしばみ、増える死者数を目にするたびに、なぜ自分が生き残ってしまったのかを問い続けていた。
そんな心に小さな灯あかりをつけてくれたのは・・・
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