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スペシャルインタビュー

巨人・菅野智之インタビュー 究極を目指して―― 「やっぱり今年は20勝。全部のタイトルを譲ってもいいから、20勝したいです」

 

巨人残留を決めたエースが、万全の状態で2021年の開幕を迎える。キャンプ、オープン戦と実戦4登板13イニング無失点。右腕にとって、野球は唯一、未来(GOAL)が分からないものであり、だからこそ飽きることなく、日々、究極を目指して打ち込めるもの。21年もまた、新たな挑戦に打ち込んでいる。
取材・構成=坂本匠 写真=桜井ひとし、BBM

キャンプ、オープン戦と実戦4登板13イニング無失点。万全の状態で開幕を迎える


三塁側から一塁側へ


 昨オフにポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指した菅野智之は、通常とは異なるキャンプインを迎えていた。移籍交渉のために元日に渡米。最終的に巨人残留を決めたものの、帰国したのが1月9日で、その後、約2週間の自主隔離もあり、本格的なトレーニングを開始したのが20日を過ぎてから。調整遅れを心配されたが、フタを開けてみれば、プレシーズンは4試合13イニング無失点。万全の状態で4年連続7度目となる開幕戦のマウンドに立つ。

――目の前に迫った開幕に向け、状態をどうとらえていますか。

菅野 開幕前の試合を無失点で終えられたのは良かったと思いますけど、いろいろ試しながらの4試合でした。まだまだだなと思う部分もありつつ、ピンチになれば「点をやりたくない」というピッチャーの本能が働いて(笑)。うまくバランスをとって投げたつもりです。ただ、今年は極端に準備期間が短かったもので。もちろん、それを言い訳にしたくないと思ってやってきましたが、「今年は開幕に間に合うかどうか、分かりません」という話は正直に伝えてはいました。そこに照準を合わせてしまうと、焦りも出るでしょうし、どこかに無理がくる。「良い状態で調整が進めば行かせてください」と。

――例年であれば、12月中旬にはハワイに渡り、1月中旬まで現地で自主トレ。帰国後、キャンプに向かうという流れ。実際、どうこの開幕に合わせたのですか。

菅野 例年どおりに時間を使えたとしたら、いろいろな課題に向き合いつつ、トレーニングもみっちりできて、余裕を持ってキャンプに臨めたと思います。でも、今回感じたのは、その状況に置かれると、勝手に体はついてくるんだな、ということです。気持ち的な部分でも当初は(メジャー移籍が叶わなかった)整理がつかないまま。前を向いて次の一歩を踏み出してはいますけど、完全には切り替えられない状況。でも、やらなきゃいけない環境に置かれれば、自然とスイッチが入りますし、えらいもので、心も、体もしっかりと出来上がったかなと思います。

――キャンプ最終日の2月28日、原辰徳監督から開幕投手の打診があります。

菅野 監督から「開幕、お願いします」と言われました。「ありがとうございます」と。監督だけではなく、皆さんも期待をして待っていてくれたんだな、と。

――菅野選手は常々「開幕は143分の1ではない特別な試合」という話をします。実際、昨年は開幕に勝って、NPB記録となる13連勝も飾りました。今年に関しては、「間に合うかどうか分からない」スタートからたどり着いた舞台です。

菅野 その気持ちは変わらないですが・・・

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