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あの夏の記憶。わが青春の甲子園

あの夏の証言 ソフトバンク・今宮健太「何を投げても打たれる気がしない、どハマりした数分間でした」

 

2009年の夏、明豊(大分)はベスト8で力尽きた。最後の相手は、菊池雄星擁する花巻東(岩手)。同年春に敗れ、チームがもっとも対戦を望んでいた相手だ。総力戦で挑んだ“リベンジマッチ”。誰よりも輝きを放ったのは、171cmの小柄な投手だった。
取材・構成=菅原梨恵 写真=BBM

今宮健太[明豊高2007〜09/現ソフトバンク]

幼馴染から受け継いだマウンド。絶対に失点するわけにいかなかった


【甲子園成績】2年春2回戦、3年春2回戦、3年夏準々決勝

後輩への思いでゾーンに入った


ゴールデン・グラブ賞5回。堅実さと華麗さを併せ持つ守備で球界を代表する遊撃手が、投手として甲子園を沸かせたことは、記憶に残っている人も多い。「(夏の甲子園は)まともにいいピッチングをしているイメージがなくて(苦笑)」と当時を振り返った今宮健太だが、土壇場で見せた気迫のこもった投球。最速154キロは“あの場面だからこそ”で、あの数分間は今宮にとっても今なお特別な瞬間だ。そして、春夏ともに熱戦を繰り広げた花巻東、同校エース・菊池雄星(現MLB・マリナーズ)の存在も、特別なものにほかならない。



 3年の夏はやはり最後なので、何とか1日でも長く同級生たちと野球がしたいという思いでやっていました。それが結果、甲子園につながった。夏の雰囲気は、春とはまったく違うものがありましたね。春はどことなく落ち着いている感じ。でも、夏は3年にとって最後ということもあって、選手一人ひとりの盛り上がりも違う。応援もいつも以上に熱かったりして。だからこそ、特に夏の甲子園では何か、普段では起きないことが起きる。「魔物が棲(す)む」って言ったりしますよね。独特の雰囲気と空気感は夏にしかないもので、逆にいい意味で自分が勘違いしてやれる感じもあるのかなと思いました。

 初戦の興南(沖縄)、2回戦の西条(愛媛)、3回戦の常葉橘(静岡)、そして準々決勝の花巻東と4試合を戦ったわけですが、やはり花巻東に対しては個人としても、チームとしても特別な思いがあって。春のセンバツでの負けが結構、屈辱的だったんですよね(※2回戦で対戦し、0対4。相手エース・菊池に完封負け)。何とかもう1回、「花巻東とやる!」「菊池雄星とやる!」というのを1つ目標としていた部分もありました。たまたまあそこのタイミングで対戦になりましたけど、負けてしまったということは、やっぱり僕らのほうがまだまだだったんだなと感じさせられましたね。

 花巻東戦は・・・

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